米国株式市場をけん引している主力AI関連銘柄は?

 米国株式市場の動きを象徴するS&P500は時価総額加重平均指数です。従って、同指数を構成する500社のうち時価総額(株価×発行株式数≒市場が評価する企業価値)が大きい銘柄の株価が変動すると、S&P500も変動しやすくなる特徴があります。

 図表2は、S&P500の時価総額上位10社(時価総額の降順)と「株価」、「時価総額」、「時価総額ウエート」、「年初来騰落率」を示した一覧です。特筆すべきは、「生成AI関連」の事業とその収益化に取り組んでいる大手テック企業(GAFAM+エヌビディア)の「年初来騰落率」が市場平均(S&P500)の堅調をけん引していることです。

 22日に「絶好調決算」を発表したエヌビディアはAI用GPU(画像処理半導体)の世界シェアで80~90%を占め、同社株価の年初来上昇率は131.9%とS&P500構成銘柄の中で最高です(29日)。

 エヌビディアのS&P500における時価総額ウエートは約6%で、S&P500連動型インデックスファンドに投資していることは「資金の約6%をエヌビディアに投資している」ことを意味します。

 生成AIを供給するオープンAIと提携しているマイクロソフト、AI事業に積極的な設備投資計画を表明しているアルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズの年初来上昇率もS&P500より優勢で存在感を示しています。

 世界の生成AI売上高は2023年の670億ドルから2033年には1兆3,040億ドル(約200兆円)へ約19.5倍に成長していく見通しです(Bloomberg Intelligence)。

 S&P500の時価総額上位10社のうち、テック系企業(IT、半導体、コミュニケーションサービス関連株)が7社を占め、時価総額ウエートでは同7社合計でS&P500の約32%を占めています。エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは決算発表時に「新しい産業革命が始まった」と述べました。AI相場への期待を確信に変えつつある言葉として注目したいと思います。

<図表2:S&P500の堅調をけん引している主力銘柄動向>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2024年5月29日)