大荒れとなったゴールデンウイークのドル円相場

 神田真人財務官は、市場が予期せぬ時間帯に円買いドル売り介入を行ったようだ。そして、「機内でも海外でも、24時間体制で必要に応じて市場動向に適切に対応する」と、胸を張った。

 今回の円買い介入で特筆すべきは、最新のFOMC(米連邦公開市場委員会)の決定からわずか2時間後に介入が行われたことだ。 実際、FRB(米連邦準備制度理事会)がタカ派的な発言をしてドルが急騰していたら、介入は無意味だっただろう。

 市場では「日本が何百億もの資金を無駄にすることがないように、イエレン議長が次のNFP(非農業部門雇用者数)とCPI(消費者物価指数)の結果を日本銀行にリークした」といううわさが流れていた。

「日銀と財務省がこの円買い介入について事前にパウエルやイエレンと協議している」という市場の観測とは反対に、イエレン財務長官はアリゾナ州メサで行われた講演の後、記者団に「介入の有無についてコメントするつもりはない」と述べ、「それはうわさだと思う」と話した。

 また、イエレン財務長官は、円相場は「比較的短期間にかなり動いた」と述べ、「こうした介入はまれであるべきで、協議が行われることが期待される」と付け加えた。

 イエレン財務長官は、「介入する前に日銀が自分に相談すべきだ」と発言したという報道も流れている。今回、日米で事前協議があったか否かは分からないが、イエレン財務長官は日本の介入を快く思っていないようだ。

 日本の介入を認めてしまえば、世界中からドル高是正の声が高まる。粘着性のインフレ問題を抱える米国はドル安を公に受け入れることはないだろう。

ドル/円(1時間足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ドル/円(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 こうした円の乱高下相場は今後起きることの予兆に過ぎず、今後、激しい動きがより頻繁に起こるのかもしれない。しかし、誰の目にも明らかなように、長期的な観点で見れば、円安はおそらく一時的な現象ではないだろう。