「黒田異次元緩和」から「植田大規模緩和」に移行しただけ!?

 3月19日の日本銀行金融政策決定会合は、ここ数週間、徹底的にリークされてきたように、政策金利を0%から0.1%の範囲に設定しマイナス金利を解除した。合わせてイールドカーブコントロールの廃止、ETF(上場投資信託)とJ-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)の買い入れの終了、国債買い入れの継続を発表した。

日銀は「報道機関に小出しに内容をリークさせることで市場に織り込ませる」という、中央銀行としては禁じ手の「市場との対話」を行っている。

 日銀が「マイナス金利を解除し金融正常化に踏み出す」という観測でいったんは円高に振れて、3月初旬に日経平均株価は急落した。しかし、イールドカーブコントロールを廃止したといいながら国債買い入れは続けるという日銀のあいまいな姿勢は、「黒田異次元緩和から植田大規模緩和に移行しただけ」と市場には受け止められ、日経平均株価は3月7日につけた史上最高値を更新してきた。

日経平均CFD(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

日経平均CFD(週足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ドル/円(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 日本の政権や日銀の政策は米国の大きな政治的圧力を受けており、その政策は米国市場の補完装置(米国債や米国株の買い手)として使われているとうわさされている。米民主党政権が選挙で勝利するには、株高は必須の条件である。そうであれば、米大統領選挙までは日本のマネーを呼び込むことによるバブル相場の延命が続くことを頭に入れておく必要がある。

 トレードで最も成功した某著名投資家は、「日本人の株式投資元年である。今まで貯金と不動産投資、せいぜい純金にしか目が向いていなかったが、日本人全員が株に関心を持つようになった。日本人はいったんそっちに目を向ければ、集団でそちらに動く。キャッチコピーにあったように【赤信号みんなで渡れば怖くない】で、フレミングの大行進のようにいきつくところまで行く、狂乱物価のトイレットペーパー買い占めや、1980年代の狂乱のバブルを作り出した国民である。このパワーは侮れない。まだ始まったばかりとも言える」と、述べておられた。

 日本人の爆買いで米国の株式市場も高値圏での推移が続いている。ただし、このようなバブル延命相場の賞味期限は何度も申し上げているように、11月の米大統領選挙までであろう。

S&P500CFD(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター