3月のマイナス金利解除観測強まり、一時1ドル=146円半ばの円高に

 外国為替相場は先週末から今週初めにかけて、日本銀行幹部の相次ぐ発言でマイナス金利解除の思惑が強まり、1ドル=146円台半ばまで円高に行きました。日経平均株価(225種)は今週に入って、円高の影響を受け前週末より1,000円以上の大幅安となりました。3月の期末に向けた利食いやリバランス(機関投資家の保有資産調整)などポジション調整が進んだことも下落の要因とみられています。

 為替相場は12日には一転して円安の動きとなりました。日銀の植田和男総裁が12日午前の参議院財政金融委員会で、個人消費の一部に弱めの動きが出ていると指摘。景気についても1月の展望リポートで示した認識よりも弱めの認識を明らかにしたため、市場ではマイナス金利解除の見方が後退し、1ドル=146円台後半から147円台半ばへと円安が進みました。

 内閣府が11日に発表した2023年10-12月期実質GDP(国内総生産)改定値は前期比0.1%増でした。年率換算では0.4%増となり、速報値の0.4%減からプラス成長に改定されたため、テクニカルリセッション(2四半期連続のマイナス成長)は回避されました。

 しかし、個人消費が0.2%減から0.3%減に下方修正されました。この数字は昨年10-12月期の数字ですが、植田総裁は足元でも個人消費が弱めの動きが続いていると認識していることになります。今後も個人消費の動向は注視する必要があります。春闘の賃上げで個人消費が回復するかどうか注目です。

 そして12日のニューヨーク外国為替市場では、一時1ドル=148円10銭台のドル高円安となりました。米労働省が2月CPI(消費者物価指数)を発表し、前年同月比3.2%の上昇となり、市場予想を上回りました。前月からも物価高が加速した形です。

 ただ、その後は147円台後半に戻し、148円以上の円安には行かない地合いとなっています。

 CPIのコア指数(エネルギーと生鮮食品を除く)が前年同月比3.8%上昇と市場予想を上回りましたが、前月(3.9%)からは低下しました。コア指数の前月比の伸びが2月は0.358%と1月(0.392%)から若干下がりました。

 また、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が注視しているとされるスーパーコア(住居費を除くサービス業のインフレ指数)が0.47%の上昇と前月(0.85%)を大きく下回りました。、CPIに占める比率が高い帰属家賃が低下に転じました。

 こうした物価高の鈍化を示すデータからFRBが6月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げに転じるとの見方が維持され、株価は上昇する一方、ドルは伸び悩みました。