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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
円高で日経平均反落。日本株、少し利益確定も

円高で日経平均反落

 先週(営業日3月4~8日)の日経平均株価は、1週間で221円下落して、3月8日の終値は3万9,688円となりました。一時、4万472円(3月7日高値)まで上昇しましたが、その後、為替がやや円高に動いたことを契機に、日経平均は急反落しました。

日経平均と、ドル円為替レートの動き:2023年1月4日~2024年3月8日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 年初より、「円安→日経平均上昇」が続いてきました。1ドル150円前後まで進んだ円安に、日本株の動きを支配している外国人投資家の、日本株買いを招く効果がありました。以下2つの理由によります。

【1】円安は日本の企業業績にプラス。
【2】円安になると、ドル建て日経平均が下落し、外国人は日本株を安く買える。

 ところが先週は、一時1ドル146円台まで円高が進み、それに伴って、日経平均は急反落しました。これまで日経平均先物の買い建てを続けてきた投機筋が、円高を見て、先物売りに回ったと推定されます。

 転換点になったのは、先週3月7日です。3月18~19日に予定されている金融政策決定会合で、日本銀行のマイナス金利解除があり得るとの思惑が広がり、円高が進みました。意表をつかれる形で、その日、高く始まった日経平均は急落しました。

3月7日の日経平均の動き

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

円高に反転した理由

 日米2つの要因が、円高反転のきっかけとなりました。

【1】日銀によるマイナス金利解除が3月にも行われるとの思惑が広がったこと
【2】FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げが年央にも始まるとの思惑が広がったこと


 これまで、日銀の金融緩和は長期化、米利下げは当分見込めないという思惑が広がる中で、ドル買い円売りのポジションを積み上げてきた投機筋が、一部、ドル売りに動いたと考えられます。