「ダウの犬」戦略とは

 米国で有名になったことのある投資手法です。投資方法は極めてシンプルです。

【1】ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均に採用されている銘柄(30銘柄)を配当利回りが高い順に並べ、上位10銘柄を選びます。その10銘柄に等金額投資します。
【2】1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニングします。1年前に投資した銘柄で、上位10社から外れた銘柄を売却し、代わりに新規に上位10社に入った銘柄を買います。
【3】1年ごとに、上記の方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続けます。

 これだけです。このシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスをあげられることが多かったので、「ダウの犬」戦略は有名になりました。

「ダウの犬」を日本株に応用

 この方法は、日本株にも応用可能です。NYダウはNY証券取引所に上場する時価総額の大きい銘柄30から構成されていました。日本で言えば、東京証券取引所の時価総額上位30社を選べば良いことになります。「コア30」といわれる指数が、それに該当します。コア30に入る30銘柄から、配当利回りの高い10銘柄を選べば、「ダウの犬」と同様の戦略を採ることができます。

 2月28日時点で、上記の方法でコア30から選んだ配当利回り上位10銘柄は、以下の通りです。この10銘柄でポートフォリオを組めば、「ダウの犬」とほぼ同じ戦略を採ったことになります。

東証「コア30」採用銘柄のうち、予想配当利回り上位10社:2024年2月28日時点

コード 銘柄名 業種 配当
利回り
株価:円
2月28日
1株
当たり
配当金
:円
9434 ソフトバンク 通信 4.4% 1,968.0 86
4502 武田薬品工業 医薬品 4.2% 4,440.0 188
4503 アステラス製薬 医薬品 4.2% 1,664.0 70
8411 みずほFG 銀行 3.6% 2,772.0 100
7267 ホンダ 自動車 3.3% 1,774.0 58
8316 三井住友FG 銀行 3.2% 8,310.0 270
9433 KDDI 通信 3.1% 4,554.0 140
8766 東京海上HD 保険 2.8% 4,365.0 121
9432 NTT 通信 2.7% 183.5 5
8306 三菱UFJ FG 銀行 2.7% 1,521.0 41
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(2024年3月期会社予想)を2月28日株価で割って算出
注:ホンダの1株当たり配当金は2023年10月1日付で1株→3株の株式分割を行ったことを考慮して修正
利益相反関係に関する告知:楽天証券株式会社はみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)の子会社であるみずほ証券に出資(49%)を受けています

新NISAで長期投資、手作り高配当株ファンド

 それでは、利回り上位10銘柄を使って、実際にポートフォリオを組んでみましょう。10銘柄に、等金額で投資するのが「ダウの犬」戦略です。完全に同じ金額にはできませんが、なるべく等しい金額になるように作ったのが、以下のポートフォリオです。

 全体の金額は約8万5,000円です。このポートフォリオの平均配当利回りは3.5%です(実際に買い付ける場合にかかるスプレッドを考慮しないベース)。

東証プライムコア30銘柄から作った「ダウの犬」ポートフォリオ(平均配当利回り3.5%)

出所:楽天証券経済研究所が作成
利益相反関係に関する告知:楽天証券株式会社はみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)の子会社であるみずほ証券に出資(49%)を受けています

 上記ポートフォリオの構成銘柄は、業種別に並べ替えてあります。景気敏感株は赤色で、景気変動の影響が相対的に小さいディフェンシブ株は水色で表記しています。ディフェンシブ90%、景気敏感10%で良いバランスにできあがっています。

 新NISA「成長投資枠」で上記ポートフォリオを組み、長い期間をかけて投資していくことが長期的な資産形成に寄与すると考えます。