日本の名目GDPはドイツに抜かれるも、上昇率は中国を追い抜く

 内閣府は15日に、日本の2023年10-12月期GDPだけでなく、2023年通年の名目GDPも発表しました。2023年の名目GDPは591兆4,820億円でした。円ベースでは過去最高額となりましたが、ドル建てで比べると日本はドイツに抜かれ、世界4位に後退しました。

 ドル建て名目GDPは、日本は4兆2,106億ドル、ドイツは4兆4,561億ドルとなり、日本はドイツよりも2,400億ドル少ない結果となりました。

 日独逆転は1968年にGNP(国民総生産)で日本が旧西ドイツを抜いて以来55年ぶりのことです。GDPは労働人口の数に左右されるといわれていますが、人口規模で3分の2のドイツに抜かれたことになります。日本の名目GDPは円安を背景にドル建てで目減りし、ドイツは物価高で名目額を押し上げたのが背景です。

 では、そのドル建てへの換算為替レートを見てみますと、円ベースで名目591兆4,820億円が4兆2,106億ドルとなるので、換算為替レートは1ドル=140.47円となります。円安を背景にドイツに抜かれたとして、年間平均為替レートが1ドル=132.73円以下の円高になれば、日独再逆転となります。あるいはドイツの物価高が沈静化してくれば、再逆転になるかもしれません。

 IMF(国際通貨基金)は、名目GDPの順位の入れ替わりは為替レートの変動が主な要因だとしています。そして物価水準を考慮すれば、日本の方が経済規模が大きいとの見方を示しています。

 ドイツの2023年名目成長率は6.3%増、実質成長率は0.3%減で、3年ぶりのマイナス成長でした。15日に公表された欧州委員会の経済見通しによると、2024年のドイツは0.3%増のプラス成長となっていますが、前回の見通しから0.5%の下方修正となっています。2024年の物価見通しは2.8%で、前回より0.3%引き下げられています。インフレ鈍化でも経済の回復は鈍いようです。

 日独逆転したことが注目されましたが、日本の名目成長率5.7%増は、バブルの好景気の影響が残る1991年の6.5%増以来の高さとなります。そして、1977年以来46年ぶりに日中逆転したことも注目です(中国はデフレが進み、4.6%増)。ただ、中国の経済低迷は日本に影響が及ぶため、注目する必要があります。

【2023年日独ドル建て名目GDP】(日独逆転は1968年以来55年ぶり)

日本  4兆2,106億ドル 

名目591兆4,820億円(過去最高) 換算為替レート(1ドル=140円47銭)
1ドル=132.73円以下の円高で日独再逆転
名目成長率 5.7%増(バブルの影響が残る1991年の6.5%増以来の高さ、1977年以来46年ぶりに日中逆転<中国4.6%増>)
実質成長率 1.9%増

ドイツ 4兆4,561億ドル 

(2023年名目成長率 6.3%増 実質0.3%減、3年ぶりのマイナス成長)