今日の為替ウォーキング
今日の一言
人生における敗北、苦しみは試練であり、不幸ではない – 大友宗麟
Money For Nothing
2024年が始まり米国のNFP(雇用統計)とCPI(消費者物価指数)が発表された。
次は1月30-31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)だ。
FRBが金融政策の運営にあたって課せられている法的使命とは「物価の安定」と「最大限の雇用」を達成することであり、FRBのデュアル・マンデートと呼ばれている。
デュアル・マンデートを具体的な数字で示すならば、「物価の安定」とは、コアPCEが2%の水準だ。PCEとは個人消費支出の略で、米国の家計が購入した財やサービスを集計した経済指標のことである。そのうち変動の激しい食品とエネルギーを除いた数字をコアPCEという。
「雇用の最大化」とは、失業率がNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:非加速的失業率)の水準で、FRBはこれを4%と見積もる。
パウエルFRB議長の理想は、失業者を出さずにインフレ目標を達成することである。失業率は自然な人口動態と労働力の変化によって上昇させる。しかし、この理想の実現は非常に困難である。
FRBは「雇用の最大化」を達成した。あと残るのは「物価の安定」、すなわち労働市場を動揺させることなくインフレ率を下げることである。
CPI(消費者物価指数)は、昨年6月のピーク時から1/3に低下した。しかし、下落の大部分はベース効果とエネルギー価格の下落のおかげだ。ベース効果は1年後には消えているし、エネルギーが今後も低価格で推移するという保証はない。
一方、6月のコアPCEは前年比4.1%で、1年前の4.8%と比べてほとんど下がっていない。賃金上昇率は4.0%以上で高止まり、賃金と物価のスパイラルの脅威にも直面している。FRBはインフレとの戦いに勝利したのか?もしFRBがコアPCEに注目しているならば、決してそうではない。
CPIの低下を受けて、利上げ終了との見方が強まっている。たしかに政策金利はピークに達したと思われる。注意しなくてはいけないのは、利上げ終了と利下げは全くの別物であるということだ。長期間にわたる高金利の維持と、労働市場の大幅な調整の必要性が残っている。FRBの仕事はまだ終わっていない