鉄則3:資産運用においてブレないスタンスを持つ

 資産運用は長期的に見れば行き当たりばったりではなかなかうまくいかないものです。年間でどれくらいのリターンを目標とするのか、そのために許容できるリスクはどこまでか、目まぐるしく変化する投資環境に対応するために富裕層の方々は資産運用のスタンスを少なからず決めています。

 とはいえ、目標やリスクの許容度はお客様によって異なるため、資産運用のスタンスもまちまちです。ある富裕層の方は、世界のインフレ率を目安にコストなど加味して年率4%くらいを目標に置いていました。また、別の富裕層の方は、リスク性資産を中心に年率平均7%以上を狙いたいと決めていました。

 しかし大切なのは、目標を達成するために、この局面でどのような投資がどの程度必要なのかを一歩離れて考える、客観的な視野を持つことです。もしすでに含み益が出ている場合は、今後のリスクに備えて無理をしなくても良いかもしれませんし、今以上に収益性を高めたい場合は、有望な分野にタイミングを分けて投資を検討しても良いかもしれません。

 資産運用には良い時もあれば厳しい時もあります。富裕層が行っている資産運用のポイントは、目標に向けたスタンスから逸脱するような投資やリスクテイクはしないということです。株価が割高だなと感じる時は、割高に感じる数字の根拠に注目し、その状態がある程度解消される(株価が下落するか実体経済が回復する)まで慎重に判断を検討します。決してフルインベスト状態にはせず、常に資金的な投資余力を残しているのも共通する特徴の1つです。運用の資産規模の大きい方ほど運用スタンスは具体的でブレないと私は感じてきました。

▼鉄則3に当てはまる富裕層例

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予想外の事態で自滅しないためには、気持ちと資金の余裕が必要

 投資行動に唯一の「正解」はありませんが、私が見た実際の富裕層の方々は、判断基準を具体的に持ち、今後市場が上昇しても下落しても、ある程度対応できる気持ちと資金的な余裕を常に持っていました。

 今の相場がバブルと言えるかどうかは、後になってみなければ分かりません。バブル相場というものは、市場参加者の多くが「今はバブルではない」と思っていなければ出現しません。そして、「今はバブル状態ではないか?」と危惧する声が高いならば、逆にバブル崩壊というような形での大幅な株価下落も起こりにくいでしょう。

 すでに主張されたり予想されたりしているシナリオは現実化しにくいものであり、だからこそ、相場にはブラックスワン(マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のこと)が現れるのです。まさに今のような状況下こそ、上で述べた「富裕層が守る3つの鉄則」が生かされる時だと私は考えています。