「値引き」で狂う価値基準。本当の価値は?
「これはね、『アンカリング』といって、小売店が値札で客の目を引くためによく使う手法です。人は、何かを判断する時、小売店での『正価』と書いてある値札など、最初に提示された数値や情報が印象に残り、それを、基準点(アンカー)として判断してしまう心理的傾向があります。『少しでも安く買いたい』『得をしたい』という気持ちが、みんなありますからね。ですから、『どちらも2万円で、品質も、デザインも、それほど変わらない』といった論理的な思考が妨げられ、実際には不合理な選択をしてしまいがちなんです」
なるほど、そう言われてみれば、隆一は確かに自分は「大幅値引き」「セール」「本日限り」といったフレーズに弱いなと思った。
「肝心なのは、投資でもこういった不合理な選択をしてしまうことがあるということです。相場の格言に『高値覚え(たかねおぼえ)』『安値覚え(やすねおぼえ)』というものがあります。今日は、この格言をしっかり頭に入れておきましょう」