先行して動いているNYダウに他の株価指数がついて行けるか?
また、株価が動き出す際の方向についても考えてみます。この点については、「先行して上昇している米NYダウの動きに、他の株価指数が追いかけて行けるか」が焦点になります。
図3 米NYダウ(日足)とMACDの動き(2023年12月1日時点)
上の図3を見ると、先週の米NYダウは週末の2日間に大きく上昇して、8月1日の高値(3万5,679ドル)を大きく上抜けて、3万6,000ドル台に乗せてきたことが分かります。
先週の値動きによって、NYダウはその先にある、2022年1月5日の最高値(3万6,952ドル)が視野に捉えてきたことになります(下の図4)。
図4 米NYダウ(週足)の動き(2023年12月1日時点)
さらなる上値追いが期待できる一方で、先週のNYダウの上昇が止まったところは、2022年10月14日週と2023年3月17日週の下値を結んだトレンドラインの延長線上でもあるため、このラインが目先の抵抗として機能し、NYダウの上値が重たくなる展開も想定しておく必要があります。
それと同時に、他の日米の株価指数がNYダウにキャッチアップできるかも注目です。
図5 米S&P500(週足)とMACDの動き(2023年12月1日時点)
先週のS&P500は、上の図5が示しているように、上昇基調が続きましたが、7月28日週の年初来高値超えをうかがうところで週間の取引を終えています。NYダウと同様に、S&P500も年初来高値の更新と、最高値(2022年1月7日週の4,818p)を目指せるかが焦点になります。
下段のMACDもシグナルを上抜けるクロスが出現しており、意識は上方向が強い印象ですが、チャートを過去に遡ると、相場の下落が10月頃に底を打って、上昇に転じるという傾向が2021年から続いています。
2021年の時は、いわゆる「コロナ・ショック」後からの上昇トレンドの終盤のタイミング、2022年の時は、急ピッチな米金融政策の引き締めによる金利上昇と景気減速懸念による下落トレンドの終盤のタイミングとなっています。
2021年の時は下落前の株価を超え、2022年の時は下落前の株価を超えられなかったという違いはありますが、両者とも「12月~1月に株価の調整と上昇の動きを見せている」という特徴があります。
その意味では、今後の株価の調整と上昇の動きの順番が前後する可能性があり、「クリスマスラリー」や年末年始の「掉尾の一振」といった、相場時期のタイミングにこだわり過ぎてしまうと、取引で痛手を被ることもあるため、足元の相場は例年よりも難易度が高いと思われます。
したがって、目先の株価が上方向で動き出したとしても、その賞味期限は長くはなく、調整局面に備えておく必要があるほか、反対に、下方向に動き出した場合には、その後の反発が期待できるため、買い場を探るスタンスが有効となりそうです。
また、米NASDAQも年初来高値更新をトライし、その先にある最高値を目指せるかという状況にあります(下の図6)。
図6 米NASDAQ(週足)とMACDの動き(2023年12月1日時点)
TOPIXの動きも要チェック
最後に、TOPIXの動きにも注意しておく必要があります。
図7 TOPIX(日足)とMACDの動き(2023年12月1日時点)
TOPIXについては、節目の2,400p水準を超えることができず、9月15日の年初来高値からの距離を残している状況となっており、他の株価指数と比べると出遅れ感があります。
その要因として、先ほども述べましたが、TOPIXは大型バリュー株が物色された9月に年初来高値を更新しており、まだ日数的に浅いこと、11月からの株価上昇がグロース株中心であることなどが考えられます。
売り方の買い戻しとグロース株による株価上昇が一服しつつある中、TOPIXも含めて今後の株価が上昇することができれば、物色の対象の広がりを意味することになり、株価上昇が継続しやすくなることも考えられるため、今週のTOPIXが上方向に動くことができるかも、重要なポイントになります。