円高になると日本株が売られる理由
円高は、「日本の企業業績にとってマイナス要因」なので日本株が下がりやすくなります。ただし、それだけではありません。日本株の動きを支配している外国人投資家が、「円高になると日本株を売りたくなる」ことが、日本株が下がりやすくなる最も直接的な理由です。
日経平均・ドル建て日経平均とナスダック総合指数の動き比較:2019年末~2023年12月1日
外国人投資家は、ドルを円に転換して、日本株に投資します。したがって、日本株(円建て)が上昇するまたは円高(対米ドル)が進むと、外国人投資家にとってのリターンは高まります。
逆に、日本株(円建て)が値下がりする、または円安が進むと、外国人投資家にとってのリターンが悪化します。つまり、日経平均に投資した外国人のリターンは、「ドル建て日経平均」の動きに表れているわけです。
上のグラフを見ていただくと、円安(ドル高)が進んだ2021年から2022年にかけて、日経平均はほとんど横ばいなのに、ドル建て日経平均は大きく値下がりしています。日経平均に投資している外国人投資家は、円安によって投資価値が目減りしていったわけです。
外国人投資家にとって、円安が進む時は、次の二つのことが同時に起こるので、円安では外国人は日本株を買いやすくなります。
【1】ドル建て日経平均が値下がり(日本株を安く買えるようになる)
【2】日本株の業績が円安で改善する期待が出る
逆に、円高が進む時は、外国人にとって次の2つのことが同時に起こるので、円高では外国人は日本株を売りやすくなります。
【3】ドル建て日経平均が値上がり(日本株を高く売れるようになる)
【4】日本株の業績が円高で悪化する懸念が出る
ただし、米景気がソフトランディングするならば、東証は来期、増益を続けると予想しています。ソフトランディングが実現すれば、米国株も上昇が見込めると思っています。したがって、ソフトランディングの中での円高ならば、私は日経平均はさらに上昇すると予想しています。