米株市場はテクニカル分析の節目まで下落。決算で流れが変わるか?

 続いて、先週の米株市場の動きについても確認していきます。

図3 米S&P500(日足)とMACD(2023年10月20日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 先週末20日(金)の米S&P500の終値は4,224pで、前週末終値(4,327p)からは103p安(2.43%安)と下げ幅が大きめとなりました。

 10月3日の直近安値や200日移動平均線を下回ったほか、下段のMACDもシグナルを下抜けるなど、下方向への意識を強めつつあります。

 さらに、チャートの形状では、6月・7月・9月の戻り高値を頂点とする「トリプル・トップ」の完成からの持ち直しの動きを見せつつも、25日と50日移動平均線が抵抗となって先週の下落につながる「リターン・ムーブ」となっているため、ちょっと警戒が必要な状況です。

図4 米NASDAQ(日足)とMACD(2023年10月20日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 また、先週の米NASDAQも下落が目立つ展開となっています。

 先ほどのS&P500では、「トリプル・トップ」がいったん完成しましたが、NASDAQについては、まだ「ネックライン」を下抜けておらずに持ちこたえています。

 ただし、下段のMACDがシグナルを下抜けクロスしているほか、50日移動平均線が抵抗となる「リターン・ムーブ」によって、ネックライン付近まで下落しており、株価が下振れる節目の攻防で今週の取引を迎えます。

 特に、今週の米国では、アルファベットやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾンといった「GAFAM」銘柄の一角や、インテルなどのハイテク関連など、NASDAQに上場する企業の決算発表が控えているため、決算を受けてNASDAQがどう動くかが今週最大の焦点になりそうです。

 また、米国ではビザやマスターカードの消費関連をはじめ、シェブロンやエクソン・モービルなどのエネルギー関連など、他業種にわたる企業の決算も予定されているため、米企業全体の温度感が見え始めてくるタイミングとなります。

 もちろん、地政学的な問題に対する情勢は流動的で不安定で、市場のムードを一気にリスクオフに転じさせかねない要素ではありますが、決算の内容が悪くないのであれば、目先で株価が大きく下落する場面があったとしても、そこは「買いのチャンス」ということになります。

 ただし、リスクオフによる株価下落は、以前のレポートで紹介した、「テクニカル的な下値の目安を探りながら下落」して行くパターンもあれば、「とにかく売らなければ」というパニック的な下落もあるため、買い場の判断は、株価の下げ方そのものに注目する必要がありそうです。