今週のメインシナリオと株価材料
以上、日米の主要株価指標から全体的な株式市場の状況を振り返ってきましたが、「下げ止まって欲しい」節目を意識しながらの下落だったことや、週末にかけての株価上昇によって、「相場の底割れ不安」よりも「上目線継続による反発期待」が優位だったことがうかがえます。
したがって、今週は株価の反発力の強さが試されるというのが基本シナリオになりそうです。
ただし、現時点での反発力は、あくまでも打診買いにとどまっていると思われます。
足元の相場環境は、米国を中心に「金利・原油・為替」の3点セットの動向にらみであることに変化はなく、今週公表予定の米9月CPI(消費者物価指数)や日米企業の決算の動きを見極めつつ、打診買いから株価の本格回復につなげることができるかが焦点になりそうです。
また、週末13日(金)には、国内オプション・mini先物取引のSQが控えていることもあり、需給的な要因で株価が振れやすい相場地合いであることも留意しておく必要がありそうです。
なお、決算予定について具体的に見て行くと、国内ではファーストリテイリングや、セブン&アイHD、ABCマート、高島屋、良品計画など、大手の小売り・消費関連企業の決算が相次ぐほか、米国では週末から、JPモルガン・チェースやシティ・グループなどの大手金融機関の決算があります。
このほか、日本が連休期間中に、パレスチナのイスラム組織「ハマス」がイスラエルに攻撃し、対するイスラエルも報復攻撃を展開するなど、新たな地政学的リスクの台頭してきたことにも注意が必要です。
場所が中東地域であるだけに、原油価格や金利(債券価格)の見通しが不透明になる可能性があります。
仮に、リスクオフムードが強まれば、原油価格が上昇したり、安全資産である米国債などが買われて金利が低下したりすることなどが考えられます。
しかし、その場合、株式市場は上昇するのか、下落するのかの反応は読みにくく、「とにかく動いた方向に乗る」といった具合に短期の取引が活発化して、方向感が出ない割に株価の振れ幅が大きくなる展開を想定しておく必要があるかもしれません。
中期的には横ばいの展開が当面続くか?
最後に日経平均の中期的な見通しについても考えていきます。ヒントになるのは、株価と75日移動平均線の関係です。
先ほどの図1でも確認できますが、先週末時点の株価は、75日移動平均線から下放れする格好となっており、乖離率はマイナス4.58%です。週の半ばにはマイナス6.20%まで拡大する場面もありました。
図5 日経平均75日移動平均線乖離率の推移(2023年10月6日時点)
実は、日経平均の75日移動平均線乖離率がマイナス5%を超えるのは、上の図5を見ても分かるように、今年の1月以来ですので、かなり久しぶりです。
そこで、過去においてマイナス5%まで乖離率が進んだ時の株価の動きを辿ると、その後の株価が75日移動平均線を挟んで上下する展開が繰り返される傾向にあります。
しかも、直近までの日経平均は、移動平均線からプラス方向に乖離する格好で上昇し、強いトレンドを形成していたため、株価の調整に時間が掛かってしまう可能性があります。
今後の決算動向次第では、再び上昇基調を強めることも考えられますが、目先の段階で中期的な相場の方向感は出にくく、レンジ相場がしばらく続く可能性が高そうです。