先週末6日(金)の日経平均株価は3万994円で取引を終えました。
10月相場入りとなった先週は、米議会の対立を背景に、「つなぎ予算が可決できず、米政府機関が閉鎖されてしまうのでは?」という懸念が土壇場で回避されたことで、週初2日(月)の取引が一段高で始まるなど、幸先の良いスタートだったのですが、その日の内に失速してしまい、その後も軟調な場面が目立つ展開となりました。
終わってみれば、節目の3万1,000円台を下回ってしまい、前週末終値(3万1,857円)からは863円安、週足ベースでも3週連続の下落となりました。
ただし、日経平均の値動きを辿ると、このまま相場が崩れてしまうわけではなさそうです。この点を含めて、まずはいつものように、足元の状況から確認していきます。
先週の株価下落は「意外と冷静」?
図1 日経平均(日足)の動き(2023年10月6日時点)
実際に、上の図1で先週の株価の下落局面を追っていくと、週初の2日(月)が32,000円台割れの水準、翌3日(火)が8月18日の安値(31,275円)、続く4日(水)がこの8月安値と、その前の7月12日の安値を結んだラインの延長線上といった具合に、日々の安値が「下げ止まって欲しい」節目を意識しつつ、下値を探るような下落となっていて、下げ幅の大きさやピッチの速さの割には冷静な面を覗かせています。
しかも、週末にかけては値を戻す動きとなっているため、今週は株価の反発を期待させる格好で週間の取引を終えています。
さらに、先週の注目イベントでまだ日本株市場が織り込んでいない、米9月雇用統計の結果についても、一足早く反応した米国株市場が上昇で終えていることも追い風となりそうです。
そこで、先週の米国株市場の動きについても確認して行きます。
米国株市場の微妙な立ち位置は継続
図2 米S&P500(日足)の動き(2023年10月6日時点)
先週末6日(金)のS&P500は4,308pで取引を終えました。
前週末終値(4,288p)からは20p高となったほか、週足ベースでも5週ぶりの上昇に転じていますが、週間の取引をプラスで終えることができたのは、6日(金)の上昇に拠るところが大きいです。
また、上の図2では200日移動平均線や、昨年10月と今年3月の安値を結んだトレンドラインのところで踏みとどまり、サポートとして機能していたことが分かります。
図3 米NYダウ(日足)とMACDの動き(2023年10月6日時点)
続いてNYダウですが、こちらも週末の6日(金)に上昇し、大きめの陽線が出現しています。節目の3万3,000ドル水準で踏みとどまっているほか、下段のMACDもやや上向きとなっているため、いったん下げ止まりそうなサインが出現しています。
ただし、週足ベースのNYダウは下落が続いているほか、前回のレポートでも紹介した逆「カップ・ウィズ・ハンドル」のカップの深さの分だけの下落をまだトライしている最中でもあり、油断できない状況が続いています。
まずは、このまま株価が反発し、下抜けてしまった200日移動平均線を上抜けできるか、それとも抵抗となってしまうのかが焦点になりそうです。
図4 米NASDAQ(日足)とMACDの動き(2023年10月6日時点)
NASDAQも週末の6日(金)に大きく株価を上昇させ、25日移動平均線を射程圏内に捉えるところに位置して週間の取引を終えています。
前週に続いて「トリプル・トップ」の完成を回避したほか、下段のMACDもシグナルを上抜けるクロスが出現しており、テクニカル分析的には、米主要3指数の中でいちばん強い形となっているのがNASDAQです。
このように、米国株はいったん反発基調を強めそうなムードが強まっている格好ですが、先週サポートとして機能した株価水準やテクニカル分析の節目は、下抜けてしまうと、相場が下げ足を早めかねない節目でもあります。
とりあえず踏みとどまっている状況と考えられるため、依然として米国株市場の立ち位置は微妙と言えます。
今週のメインシナリオと株価材料
以上、日米の主要株価指標から全体的な株式市場の状況を振り返ってきましたが、「下げ止まって欲しい」節目を意識しながらの下落だったことや、週末にかけての株価上昇によって、「相場の底割れ不安」よりも「上目線継続による反発期待」が優位だったことがうかがえます。
したがって、今週は株価の反発力の強さが試されるというのが基本シナリオになりそうです。
ただし、現時点での反発力は、あくまでも打診買いにとどまっていると思われます。
足元の相場環境は、米国を中心に「金利・原油・為替」の3点セットの動向にらみであることに変化はなく、今週公表予定の米9月CPI(消費者物価指数)や日米企業の決算の動きを見極めつつ、打診買いから株価の本格回復につなげることができるかが焦点になりそうです。
また、週末13日(金)には、国内オプション・mini先物取引のSQが控えていることもあり、需給的な要因で株価が振れやすい相場地合いであることも留意しておく必要がありそうです。
なお、決算予定について具体的に見て行くと、国内ではファーストリテイリングや、セブン&アイHD、ABCマート、高島屋、良品計画など、大手の小売り・消費関連企業の決算が相次ぐほか、米国では週末から、JPモルガン・チェースやシティ・グループなどの大手金融機関の決算があります。
このほか、日本が連休期間中に、パレスチナのイスラム組織「ハマス」がイスラエルに攻撃し、対するイスラエルも報復攻撃を展開するなど、新たな地政学的リスクの台頭してきたことにも注意が必要です。
場所が中東地域であるだけに、原油価格や金利(債券価格)の見通しが不透明になる可能性があります。
仮に、リスクオフムードが強まれば、原油価格が上昇したり、安全資産である米国債などが買われて金利が低下したりすることなどが考えられます。
しかし、その場合、株式市場は上昇するのか、下落するのかの反応は読みにくく、「とにかく動いた方向に乗る」といった具合に短期の取引が活発化して、方向感が出ない割に株価の振れ幅が大きくなる展開を想定しておく必要があるかもしれません。
中期的には横ばいの展開が当面続くか?
最後に日経平均の中期的な見通しについても考えていきます。ヒントになるのは、株価と75日移動平均線の関係です。
先ほどの図1でも確認できますが、先週末時点の株価は、75日移動平均線から下放れする格好となっており、乖離率はマイナス4.58%です。週の半ばにはマイナス6.20%まで拡大する場面もありました。
図5 日経平均75日移動平均線乖離率の推移(2023年10月6日時点)
実は、日経平均の75日移動平均線乖離率がマイナス5%を超えるのは、上の図5を見ても分かるように、今年の1月以来ですので、かなり久しぶりです。
そこで、過去においてマイナス5%まで乖離率が進んだ時の株価の動きを辿ると、その後の株価が75日移動平均線を挟んで上下する展開が繰り返される傾向にあります。
しかも、直近までの日経平均は、移動平均線からプラス方向に乖離する格好で上昇し、強いトレンドを形成していたため、株価の調整に時間が掛かってしまう可能性があります。
今後の決算動向次第では、再び上昇基調を強めることも考えられますが、目先の段階で中期的な相場の方向感は出にくく、レンジ相場がしばらく続く可能性が高そうです。
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