気になるあの本をチェック!
60代からの資産「使い切り」法
答えてくれた人
株式会社日経BP 日経BOOKSユニット 第1編集部次長 長澤香絵さん
著者ってどんな人?
野尻哲史(のじり さとし)さん
合同会社フィンウェル研究所代表。1959年生まれ。一橋大学商学部卒。1982年山一証券経済研究所、同ニューヨーク事務所駐在、1998年メリルリンチ証券東京支店調査部、同調査部副部長、2006年フィデリティ投信入社、2007年フィデリティ退職・投資教育研究所所長。2019年5月、定年を機に合同会社フィンウェル研究所を設立し、資産形成を終えた世代向けに資産の取り崩し、地方都市移住、勤労の継続などに特化した啓発活動をスタート。2018年9月より金融審議会市場ワーキング・グループ委員、2022年9月より同審議会顧客本位タスクフォース委員。
編集者から見た著者はこんな人!
運用会社で長年、投資教育に携わってきた金融業界の著名人です。
本書はリタイア生活を迎える元会社員とその配偶者に読んでいただけたらと思っていますが、著者ご本人も60代、会社員として定年まで勤めたご経歴の持ち主です。定年後は、シニア世代向けに、資産の取り崩し、地方都市移住、勤労などの啓発活動を行っています。
ご多忙であるはずなのに、メールの返事がいつもとんでもなく早い! おかげさまで、編集作業もスムーズに進みました。
どんな人にオススメ?
・リタイア生活を迎えた60代、70代の方
・定年後の生活に備える50代の方
・リタイア世代の資産運用にかかわる金融業界の方
この本の、ここが読みどころ!
老後資産形成のための本は数あれど、退職後の資産の使い方の指針となるような書籍は、なかなか見当たりません。
不確実性の時代に、少しでも安心を確保するために多くの人がとってきたのが「できるだけお金を使わない」という姿勢かと思いますが、本書では、「効果的に運用することで資産寿命を伸ばす」、そのうえで「効果的にお金を使い、退職後の生活を十分に楽しむ」という、[守り一辺倒]ではない新たなお金との付き合い方を提示した点が何より画期的でユニークだと思います。
「65~80歳と80代以降で使い方を変える」「80歳までは『定額』ではなく『定率』で引き出す」「100歳から逆算して資産を準備する」「いざという時のバッファー資産を準備する」など具体的なアドバイスは、担当編集者自身も退職後の人生に備えるにあたって、非常に参考になりました。
編集者の制作秘話
「資産の取り崩し」は、日本人にはまだなじみが浅い概念ですが、本来、退職を迎える誰にとっても他人事ではない話題です。なので、このテーマをいかに身近に感じてもらうかにこだわり、本文やカバーのテイストを考えました。
マネー本ではあまり見かけないクラフト紙のカバーや、ほんわかしたイラストも、手づくり感や親近感を意識したものです。
そのほか、こだわったのは文字の大きさ。弊社の他の書籍と比較して大きな活字を使っています。もちろん、読者の方々の読みやすさを優先してのことですが、実は編集者にもメリットが。
40代半ば、細かい文字の校正が年々苦痛になってきていたのですが、この本では活字を大きくしたために校正がしやすく、「活字を大きくして良かった」と編集作業中に何度思ったかわかりません(笑)。