2023年中間決算は8%増益、マクロ経済の逆風下で堅調維持

現地コード 銘柄名
03360

遠東宏信

(ファーイースト・ホライゾン)

株価 情報種類

5.55HKD
(8/10現在)

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 中国中化集団系の有力ファイナンスリース会社、遠東宏信の2023年6月中間期の純利益は前年同期比8.2%増。手堅く増益を確保したしたものの、中国経済が減速する中で、BOCIの予想を下回った。資金運用残高が3%増加(2022年通期は前年比5%増)する半面、純金利マージン(NIM)は0.07ポイント低下し、資産の質は高水準を維持するというまちまちの内容となった。続く下期について、BOCIは中国共産党中央政治局が最近の会議(7月24日)で景気刺激策の強化を決定したことに注目し、これが市場のセンチメントとファイナンスリースセクターのファンダメンタルズの改善を後押しする可能性を指摘している。2023年通期の資金運用残高と純利益については、それぞれ前年比6.0%増、9.1%増を予想。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社は2023年上期も優れた資産の質を維持した。不良債権比率は1.05%と、2022年通期並み。商業銀行セクター全体の1.68%より低い水準に抑えた。また、30日を超える延滞債権の比率は上期に0.91%と、同じく前年並み。不良債権引当カバー率(貸倒引当金÷不良債権残高)は235%だった(前年は240%)。BOCIは2023年通期の不良債権比率について、1.04%へ小幅の改善を見込む。

 純金利マージンは上期に4.42%と、前年同期比で0.07ポイントダウンした。資産利回りの堅調と資金調達コストの上昇が背景。BOCIは下期について、資金調達コストの低下に伴う純金利マージンの改善を予想。通期では4.52%に達するとみている。

 設備機器のオペレーションサービスを手掛ける子会社、宏信建発(Horizon Construction Development;HCD)は5月にIPO(新規株式公開)を完了し、約15億HKドルを調達した。これは同社にとって中期的にプラス。HCDの純利益は上期に前年同期比10%増加し、遠東宏信の純利益全体の11.3%を占めた。一方、病院チェーンを経営する宏信健康(Horizon Healthcare)の純利益は上期に64%増。全体に占める割合は4.9%だった。

 遠東宏信の株価は現在、2023年予想PBR(株価純資産倍率)で約0.4倍という低水準にとどまっており、同年の予想配当利回りは9%の高水準にある。BOCIは優れた資産の質や利益成長率、ROE(株主資本利益率)を考慮すれば、さらに高いバリュエーションに値するとの見方。2023年のROAE(平均株主資本利益率)に関しては13.6%との予測を示した。また、リースビジネスの資産と負債の満期のバランスを取ることで、安定的に流動性リスクを管理している同社の手腕を前向きに評価。業界大手としての高い競争力を背景に、業界集約化が進む中国のファイナンスリース市場で、この先さらにシェアを拡大する見通しを示した。2023年予想PBR0.84倍(過去10年の平均PBRに相当)をあてはめ、目標株価を引き下げながらも株価の先行きに対して強気見通しを継続している。