昨日(2016年09月01日)の動向
木曜日の米ドル/円相場は値動きが限られながらも、103.05円を安値に底固く、海外時間には一時103.99円までドル高・円安が進みました。しかし、この日発表された米8月ISM製造業景況指数が49.4と、市場予想より悪かったばかりではなく、景況判断の分かれ目とされる50.0を下回ったことから一転売りが優勢となると、103円前半まで下落。ジャクソンホール以来、新規材料もなく4円近く水準を切り上げてきたので、雇用統計を前にしてポジション調整も入ったと思われます。終値は7営業日ぶりに前日比マイナスの103.239円(前日比-0.188)。
オプション市場の代表的指標である、R/R(リスク・リバーサル)にはある変化が現れています。R/Rは、オプションの需給によって、マーケットの相場観を判断するインディケーターですが、昨年米ドル/円が123.70円をピークとして下がり始めて以来、ずっと円高方向のオプション需要が強いことを示していました。それが、今週になって円安方向に転換したのです。円安方向のオプションの需要が高まっているということであり、それだけドル高・円安の相場観が強まっているということを示しています。
欧州通貨ではポンド/ドルが急上昇。1.31ドル台前半から一時1.3317ドルの高値をつけましたポンド/円も135円台前半から138.03円まで跳ね上がりました。ブレグジット後の英製造業PMIが昨年10月以来の高い水準となる53.3まで改善したことが理由で、マーケットではポンド売り持ちが多く、損切りのポンド買いも出た模様です。とはいえ、英指標が今後も強さを保てるのか、一時的な反発に終わるのかを判断するにはまだ時間が必要です。
そして、今夜、注目の米雇用統計が発表されます。
市場予想では、NFP(非農業部門雇用者数変化)が+18.0万人(前回+25.5万人)、失業率は4.8%(前回4.9%)となっています。ちなみに今年これまでのNFPの月平均増加数は18.7万人ですが、FOMC委員は10万人以下でも大丈夫との意見なので、今回の結果が予想通りならば、マーケットは年内利上げをほぼ完全に織り込むことになるでしょう。
一方で、雇用市場が良くても、インフレ率が2%に近づく確証が得られるまでは、利上げを見合わせるべきとの意見もFOMC内部からは出ています。雇用市場とインフレ率を関連付けるデータが平均賃金です。平均時給が高くなれば消費に回るマネーが増え、物価が上昇すると考えられるからです。今後も平均労働賃金は注目です。
とはいえ、インフレ率が上向くのを待っているうちに労働市場の拡大がピークアウトしてしまうと、FRBはこれから先ずっと、利上げできないことになります。それならば12月まで様子を見るより、金融市場が落ち着き、雇用統計が強さを保っている今のうちに実施すべきと考えても不思議ではありません。今回の雇用統計が良ければというより、相当悪くない限り、9月米利上げの可能性は十分にあるでしょう。
2016年09月01日のBID値 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 103.401 | 103.997 | 103.059 | 103.239 |
ユーロ/円 | 115.354 | 115.825 | 115.028 | 115.572 |
豪ドル/円 | 77.749 | 78.192 | 77.465 | 77.934 |
米ドル/円 1時間チャート
ユーロ/円 1時間チャート
豪ドル/円 1時間チャート
本日(2016年09月02日)の展望
【米ドル/円】
レジスタンスは105.53円(2016年07月29日高値圏)、サポートは 101.74円(2016年08月30日安値圏)です。
レジスタンス R1 | レジスタンス R2 | サポート S1 | サポート S2 | |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 105.53 | 106.75 | 101.74 | 100.05 |
米ドル/円 5分足チャート
【ユーロ/円】
ユーロ/円のレジスタンスは116.85円(2016年07月29日高値圏)、サポートは 114.67円(2016年08月31日安値圏)です。
ユーロ/ドルのレジスタンスは1.1366ドル(2016年08月18日高値圏)、サポートは 1.1112ドル(2016年08月10日安値圏)です。
レジスタンス R1 | レジスタンス R2 | サポート S1 | サポート S2 | |
---|---|---|---|---|
ユーロ/円 | 116.85 | 117.15 | 114.67 | 113.85 |
ユーロ/円 5分足チャート
【豪ドル/円】
レジスタンスは78.55円(2016年08月12日高値圏)、サポートは 77.31円(2016年08月31日安値圏)です。
レジスタンス R1 | レジスタンス R2 | サポート S1 | サポート S2 | |
---|---|---|---|---|
豪ドル/円 | 78.55 | 79.74 | 77.31 | 76.69 |
豪ドル/円 5分足チャート
- ※ 上記各5分足チャートは、当日 2016年09月02日 現在のものです。
- ※ コメント欄の語句について R=上値抵抗線 S=下値支持線
本日(2016年09月02日)の主な指標
注目度 | 発表時間 | 指標 | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
★★ | 18:00 | (欧) 7月卸売物価指数(PPI)(前年同月比) | -2.9% | -3.1% |
★★ | 21:30 | (米) 7月貿易収支 | -414億ドル | -445億ドル |
★★★ | 21:30 | (米) 8月非農業部門雇用者数変化(前月比) | 18.0万人 | 25.5万人 |
★★★ | 21:30 | (米) 8月失業率 | 4.8% | 4.9% |
- ※ 発表時間はいずれも東京時間
- ※ 注目度は★低~★★★高で示します