昨日(2016年09月22日)の動向
21日の米ドル/円は、日銀会合直後に101円台前半から102.78円まで急騰しました。
日銀はこの日の会合で、上場投資信託(ETF)の年間買い入れ額のうち、2.7兆円については、TOPIX連動ETFを対象とする一方で、当座預金の一部に付与している0.1%のマイナス金利は据え置きました。マイナス金利据え置きを好感して銀行株が買われるなどして、日経平均は300円を超す大幅高。リスクオン効果とショートポジションの手じまいがドル円の買戻しを促しましたが勢いは続かず、黒田総裁の会見中から下落に転じると、100円台半ばまで反落しました。
同じ日、FOMCは利上げ見送りを7対3で決定しました。金利据え置きは6会合連続。
FOMC声明では、見送りの理由として、「FF金利を引き上げる根拠は強まったと判断するが、当面は、目標に向けて進んでいるという、一層の証拠を待つことに決めた。」ことを理由としています。
会合後の会見で、イエレン議長は年内利上げに含みをもたせました。しかし、FOMCが経済予測で政策金利の見通しを後退させたことや、日銀のリバース・ツイスト・オペによって、日米金利拡大は将来に渡ってかなり緩やかなものになるとの思惑で、マーケットはドル売り・円買いへと傾きました。FOMC後の米ドル/円の安値は100.29円。終値は100.324円(前日比-1.403円)でした。
東京市場が休場となった22日の米ドル/円は、東京時間午前には8月23日以来の安値となる100.09円まで売られましたが100円割れは回避。NY時間には100.92円まで戻しました。米利上げペースがより緩やかになるとの安心感で、ナスダック総合指数が過去最高を更新するなど米株価が上昇。リスクオンの動きが円安を後押ししました。
FOMCは利上げを見送りましたが、イエレン議長の発言内容は、十分に「タカ派的」だったという見方もあります。年内利上げについては、17名のメンバーのうち14名が年末までに25ベーシスの利上げを予想していることから、12月はほぼ確定といえそうです。(なお、据え置き派は、エバンス・シカゴ連銀総裁、ブレイナードFRB理事、タルーロFRB理事の3名といわれています。)
円以外の通貨は、ドルに対して上昇。ユーロ/ドルは、1.11ドル台後半から1.1257ドルまで、ポンド/ドルは、1.30ドル前半から1.3120ドルまで買われました。ポンドに関しては、フォーブスMPC委員が、「ブレグジットの影響は懸念していたほど深刻ではない」と述べたことも支援材料となりました。
円安との相乗効果で、ユーロ/円は112.07円から113.49円、ポンド/円も130.51円から132.27円まで大きく値を伸ばしましたが、日銀、FOMC前のレベルには戻れていません。
その中で豪ドル/円は相対的に力強く、高値は77.29円と、日銀、FOMC後の落ち込みをほぼ取戻しつつあります。米金利据え置きによる高金利通貨の豪ドルの再評価、加えてロウ・RBA新総裁はインフレ見通しに楽観的で、RBAの11月利下げリスクが遠のいたことなどが、豪ドル買いの材料になっています。
RBNZはこの日の会合で、政策金利を2.00%に据え置きました。決定は市場予想通り。NZドルの水準に対して、RBNZは声明で「通貨の下落が必要」と警戒したことで、NZドル/円の高値は73.94円までと、豪ドル/円に比較して伸び悩みました。
100円割れ寸前で踏みとどまった米ドル/円ですが、日銀の政策に失望して円高が進むというのは、いわばお約束です。まだ円高リスクが払しょくされたとはいえません。
2016年09月22日のBID値 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 100.302 | 100.928 | 100.096 | 100.760 |
ユーロ/円 | 112.227 | 113.498 | 112.072 | 112.931 |
豪ドル/円 | 76.485 | 77.290 | 76.448 | 77.011 |
米ドル/円 1時間チャート
ユーロ/円 1時間チャート
豪ドル/円 1時間チャート
本日(2016年09月23日)の展望
【米ドル/円】
レジスタンスは102.80円(2016年09月21日高値圏)、サポートは 100.05円(2016年08月26日安値圏)です。
レジスタンス R1 | レジスタンス R2 | サポート S1 | サポート S2 | |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 | 102.80 | 103.36 | 100.05 | 99.50 |
米ドル/円 5分足チャート
【ユーロ/円】
ユーロ/円のレジスタンスは114.40円(2016年09月21日高値圏)、サポートは 112.07円(2016年09月22日安値圏)です。
ユーロ/ドルのレジスタンスは1.1285ドル(2016年09月09日高値圏)、サポートは 1.1112ドル(2016年08月10日安値圏)です。
レジスタンス R1 | レジスタンス R2 | サポート S1 | サポート S2 | |
---|---|---|---|---|
ユーロ/円 | 114.40 | 114.84 | 112.07 | 111.07 |
ユーロ/円 5分足チャート
【豪ドル/円】
レジスタンスは78.33円(2016年09月09日高値圏)、サポートは 76.44円(2016年09月22日安値圏)です。
レジスタンス R1 | レジスタンス R2 | サポート S1 | サポート S2 | |
---|---|---|---|---|
豪ドル/円 | 78.33 | 79.14 | 76.44 | 75.93 |
豪ドル/円 5分足チャート
- ※ 上記各5分足チャートは、当日 2016年09月23日 現在のものです。
- ※ コメント欄の語句について R=上値抵抗線 S=下値支持線
本日(2016年09月23日)の主な指標
注目度 | 発表時間 | 指標 | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
★★ | 16:30 | (独) 9月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値) | 53.1 | 53.6 |
★★ | 16:30 | (独) 9月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値) | 52.1 | 51.7 |
★★ | 17:00 | (欧) 9月製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値) | 51.5 | 51.7 |
★★ | 17:00 | (欧) 9月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値) | 52.8 | 52.8 |
- ※ 発表時間はいずれも東京時間
- ※ 注目度は★低~★★★高で示します