高く買う方が結局は安く買える？～順張り投資のすすめ

あっという間に株価が上昇した2023年6月の日本株

　2023年5月の日本株は、日経平均株価と一部の銘柄のみ強く、多くの個別銘柄は逆に下がっていました。

　しかし6月に入ると、日経平均株価だけでなく、個別銘柄も大きく上昇するようになりました。

　筆者も驚くほどのペースで、あれよあれよという間に多くの銘柄の株価が上昇するのは久しぶりに見る光景でした。

　でも多くの個人投資家はこの上昇に乗れていないようです。筆者はその大きな要因の一つが、個人投資家の大多数は「逆張り」をしているからであると考えています。

　筆者は完璧にとはいきませんでしたが、6月に入ってからの上昇にある程度乗ることができました。その大きな理由が、筆者の投資スタイルが「順張り」であるという点です。

なぜ逆張りだと株価上昇に乗れないのか？

　例えばこのような典型的なケースが想定されます。

〇現在の株価：4,000円
〇2年前の株価：1,000円

　逆張り派の個人投資家は次のように考えるはずです。

「ファンダメンタルなどから判断してかなり魅力的な銘柄だが、今の株価4,000円は、底値1,000円からはだいぶ上昇しているため買いづらい。株価が3,000円くらいに下がるのを待ってから買おう」

　ところが株価は3,000円まで下がることなく上昇し、結局半年後に8,000円になりました。でも逆張り投資家は3,000円まで下がらないとこの株を買いませんので、上昇に乗ることができないのです。

順張りだと株価上昇に乗りやすい

　一方順張り派は、株価が上昇している途中でも、上昇トレンドを形成していれば買うことができます。

　筆者であれば、株価が25日移動平均線を超えた直後だったり、25日移動平均線との乖離（かいり）率が小さいのであれば、株価が上昇中であってもちゅうちょなくその株を買っていきます。

　例えば上のケースで、現在の株価4,000円、25日移動平均線が4,200円であれば、移動平均線を超えるのを待って、例えば4,300円あたりで買います。

　その結果、株価が8,000円まで上昇する過程でその株を保有することができるので、株価上昇による利益を享受することができます。

株価上昇局面では逆張りで「安く」買う方が順張りで「高く」買うより高くつく

　さて、株価が8,000円に上昇したあと、逆張り投資家は次のように考えます。

「ここまで株価が上昇してしまったのでさすがに3,500円までは下がらないだろう。でも8,000円の株価ではちょっと手を出せない。6,000円まで下がったら押し目買いしよう」と。

　その後実際に株価が6,000円に下がったらその株を買うことができますが、順張り派は4,300円近辺で買うことができていますので、結局逆張り派より順張り派の方が安く買えることになります。

　もし、8,000円から6,000円まで下がらず、7,000円どころまで下がった後反転して1万2,000円まで上昇した場合は、またもや株価上昇に乗れず、利益を得られなくなってしまいます。

　株価が大きな上昇局面に突入しているときは、大きな押し目をつくらず株価が何倍にも上昇するケースも珍しくありません。

　そんな時に「大きく下がったら買おう」と思っていると、いつまでたっても買えない...という悲しい状況となってしまうのです。

押し目ではなく天井をつけていたとしたら？

　逆張りでもう一つ怖いのが、押し目を待って安く買ったつもりが、押し目ではなく株価が天井を付けて下落局面に入っていた場合です。

　上の例で、8,000円まで上がった株が6,000円まで下がったところで押し目買いをしたとします。

　もしうまく押し目買いが成功し、買った後8,000円、1万円と株価が上昇すれば言うことはありません。

　でも、6,000円で買った後、5,000円、4,000円と下がっていく可能性もあります。このときはしっかりと損切り価格を決め、損切りを実行しないと、みるみるうちに株価が下がり、含み損を抱えた塩漬け株をつくってしまうことになります。

　普段逆張りをしている個人投資家の方は、「株価が高くなってから買うのは危ない」という気持ちがあるため、株価が安くなるのを待っているのだと思います。

　でも、株価が安くなるのを待っても安くならないことは往々にしてありますし、株価上昇局面で株を買って保有していないと利益を得る機会を失うことになってしまいます。

　もちろん、順張りは逆張りの場合に比べて高く買うことにはなりますが、筆者は移動平均線からの乖離が大きい場合は買いを控えたり、買った後株価が下がったら損切りを行って損失をできるだけ小さく抑えたりして、大きな失敗を避けるようにしています。

　長い目で見ると、株価が下がるのを待って買うより、上がっている途中で買う方が利益を得られる可能性が高いと思います。今回の株価上昇に上手に乗れなかった...という方は順張り思考への切り替えをお勧めします。

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