1.日本株ESG指数の対TOPIX相対リターンはおおむねプラス
日本株ESG指数のパフォーマンスは市場平均であるTOPIX(東証株価指数)をおおむね上回って推移してきた
2016年5月に弊社ETF(上場投資信託)「NEXT FUNDS 野村企業価値分配指数連動型上場投信(1480、以下、NF・企業価値ETF)」が上場するなど、日本でESG投資が注目され始めて一定の時間が経過していますが、このあたりで「ESGはパフォーマンスにどのように効いてきたのか?」を実際に検証してみることにしました。
図表1は、弊社が日本株ESGカテゴリーに位置付けている四つのETFの投資対象指数について、対TOPIX相対株価を見たものです(全て配当再投資のトータルリターン)。「NF・企業価値ETF」などが誕生したのは2016年以降ですが、指数としてはそれ以前までさかのぼって計算されており、下図のようなパフォーマンスになります。
各ESG指数の対TOPIX相対株価が足元で100を超えていることから、各ESG指数はTOPIXを上回るパフォーマンスだったことが分かります。ESGが企業利益や企業価値を押し上げたことや、ETFに限らず、さまざまな形のESG投資戦略が普及し、対象銘柄群への資金流入が増えることで、ポジティブなパフォーマンスがもたらされたのでしょう。
[図表1] 日本株ESG指数の対TOPIX相対株価の推移
2.対TOPIX相対リターンには波がある
ESG投資戦略を用いて市場平均を上回るパフォーマンスを残すためには工夫が必要
図表1で見たように、日本株ESG指数のパフォーマンスはTOPIXを上回っては来たものの、その程度は「野村企業価値分配指数」の相対株価で見て約22年間で119.4となっており(19.4%のアウトパフォーム)、年率で見るとかなり小さな差でした。「MSCI日本株女性活躍指数」は100.3(0.3%のアウトパフォーム)とほとんど差が生じていません。
そこで、図表2では日本株ESG指数とTOPIXの1年リターンの差を見てみました(全て配当再投資のトータルリターン)。
傾向的にはTOPIXを上回るパフォーマンスを残してきたものの、その変遷は波が大きく、パフォーマンスがTOPIXを上回る良いときもあれば、逆に下回る悪いときもありました。そこで、実際の投資戦略としては、足元のパフォーマンスがさえないタイミングで参入することが、パフォーマンスを高める可能性があると考えました。
図表2にあるように、日本株ESG指数の足元のパフォーマンスは、最悪とは言えないまでも、循環的にはかなり低調な局面であることが分かります。投資の有名な格言に「人の行く裏に道あり花の山」というものがあります。
平たく言うと、「他人とは反対のことをやった方がうまくいく場合が多い」という意味です。こうした格言に乗り、投資タイミングを決めるのも一つの戦略としては機能するのではないかと考えています。
[図表2] 日本株ESG指数とTOPIXの1年リターン格差