株価が上昇するのはなぜ?
皆さんは、株価が上昇するのはなぜだと思いますか? 「業績が良いから」というのが教科書的な答えだと思いますが、実際に株式投資をしていると、必ずしもそうではない、ということが分かってくると思います。
株価が上昇する理由、正しくは「買いたい投資家が売りたい投資家より多いから」です。つまり、需給が株価を決めているのです。
株式投資を始めたばかりの個人投資家だけでなく、ある程度株式投資に慣れてきた方であっても、この原則を分かっていない、もしくは忘れてしまっていることがかなり多いです。
しかし、この「需給が株価を決める」という原則に従って常に行動していないと、思わぬ損失を被ってしまう可能性があります。
そこで、今回と次回の2回に分け、なぜ業績が良くない株の株価が上昇することがあるのかについて考えてみたいと思います。
需給が株価を決める典型例-テーマ株
需要と供給の力関係で株価が動く典型例が「テーマ株」と呼ばれるものです。以前は「仕手株」とか「材料株」と呼ばれたこともあり、株価だけ大きく上昇して業績が伴っていないケースが大部分です。
「本日の値上がり銘柄ランキング」とか、「移動平均線からの乖離(かいり)率ランキング」を見ると、不思議と株価が急騰している銘柄がいくつか見つかると思います。
なぜ株価が上昇しているのでしょうか? 多くは著名な投資家の推奨だったり、SNSやネットの情報などがきっかけとなり、株価が突然急騰します。その動きをみて、他の投資家もこぞってその銘柄に押し寄せ、株価の上昇がしばらく続きます。
しかし、業績が伴っていないため、最後は株価が元の水準に戻り、チャートが山のような形となることが多いです。
このような銘柄は、毎日ぐんぐん株価が上昇しますし、ネットやSNSで根拠なく「まだまだ上昇は序の口」とか「ここから株価10倍は固い」というコメントが流されたりします。それを見た個人投資家が、「それなら今から乗っても間に合うかも」とか「今すぐ乗らないともったいない」などとついつい手を出してしまいます。
しかし得てして個人投資家が飛びついたところが高値となり、すぐに天井を付けて急落してしまいます。上昇スピードが急な分、下落に転じた際も本当にあっという間に下がります。
適時の損切りをしないと、大きな含み損をかかえた塩漬け株になってしまいますし、業績が伴っていないまま無理やり株価だけを持ち上げた形なので、いつまで持ち続けても半永久的に買値まで戻らない、という可能性も大いにあります。
確かにテーマ株は株価が短期間に大きく上昇しますし、飛び乗って利益を得ることができるケースもあります。しかし上で述べたように、株価が下がったときに損切りをしなければ、塩漬け株になってしまいますから、筆者個人的には避けた方が無難だと思います。もし手掛けるにしても、遊びと割り切って無理のない金額で投資するようにしましょう。
業績回復、拡大を先取り
テーマ株でなくとも、業績が良くないのになぜか株価が上がる銘柄も結構あります。そうした銘柄の中に多いのが、将来の業績回復や拡大を先取りして株価が上昇するケースです。
例えば、会社四季報を見ると、業績がイマイチでとても株価が大きく上昇するようには思えない銘柄が、なぜかグングンと上昇することがよくあります。
おかしいなあ、と首をかしげ、業績が伴っていないのでその株を買うこともせず眺めていると、次に発売される会社四季報では業績予想が大きく伸びている…というケースです。
このケースは、テーマ株のように急激に上昇して急激に下落するという動きはあまりありません。どちらかというとジワジワと上昇し続け、気が付いたら結構上がっていた、という感じになります。
なぜこのような上がり方をするかといえば、プロ投資家が「この銘柄は将来伸びる」と思ったら、できるだけ株価が大きく上がらないように、ある程度の時間をかけてゆっくりと買っていくからです。彼らが買う分だけ買い需要が増えますから、株価も上がりやすくなるのです。
個人投資家の実践的な対処法は?
もしこのような銘柄を狙おうとするのであれば、プロ投資家のように高い分析力を持って、将来業績が伸びそうな銘柄をみつけて先回りで買うことが求められます。でもそれは個人投資家にとっては無理な話です。
ですから、株価が上昇トレンドになったらとりあえず乗ってみる、というのが実践的な対応策だと思います。
無論、何でもかんでもとりあえず乗ってみる、というのでは資金も到底足りませんし、失敗する可能性も高いでしょう。したがって、現時点での会社四季報ではたいして業績が良くないように見えても、過去の業績の推移などから今後は伸びるかもしれないな、という銘柄に絞って買ってみるのが一つの方法です。
次回は、業績もたいして良くないように見えるし、今後業績が伸びるかどうかもよくわからない、でもなぜか株価は上昇を続けている…というケースについて考察してみたいと思います。
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