とうもろこしが上がると、小麦・大豆も釣られて上がる

 とうもろこしは穀物の中で価格のリーダー的存在であり、とうもろこしの価格が上がると、他の大豆や小麦も釣られて上昇する傾向があります。2008年以降の他の穀物の価格水準を見ると、穀物全体の長期的な価格水準が切り上がっていることが分かります。

図:大豆、小麦、とうもろこし先物価格 (期近、月足、終値)

単位:セント/ブッシェル
出所:CMEのデータをもとに筆者作成

 各国の経済情勢は浮き沈みがありますが、穀物価格の水準切り上げの原因と思われる「世界的な食肉文化の浸透」「世界的な人口増加」「世界的な環境意識の高まり」の3つの状況変化が、「世界的に食肉文化が衰退する」「世界的に人口が減少する」「世界的に環境意識が後退する」という、「以前の状態に戻る」ことは、非常に考えにくいと筆者は思います。

 穀物相場の価格水準を切り上げた各種材料が、後戻りしないのであれば、価格も元の水準に戻ることはないのかもしれません。

 しかし、相場は絶えず新しい材料を織り込みながら推移していきます。

 今後、例えば、穀物を用いない新たな家畜用のエサが開発され、世界的に使用されはじめた(エサ用の穀物消費減少)、電気自動車が世界規模で使用されるようになった(バイオ燃料の消費減少)、など、技術革新によって穀物相場の長期的な価格水準を切り上げた材料が後退する可能性はゼロとはいえません。

 このような穀物相場の根幹に関わる材料が出た際は、要注意だと思います。