シェアを取るか、利益を取るか。サウジのシェアへのこだわり、どこまで続く?
図:サウジとロシア、米国の原油生産量の推移
上グラフのとおり、2015年、サウジの原油生産量に米国の原油生産量が肉薄しましたが、翌2016年にかけて米国の原油生産量が減少しました。米国の原油生産量減少は、OPECが減産を見送り、原油価格の下落に拍車がかかったことが要因だと言えます。
原油価格の下落、および米国の原油生産量の減少は、サウジを中心としたOPECが自らの生産シェアを優先したことで起きた「人為的な下落・減少」だと言っても過言ではありません。原油関連の金融商品を保有していた年金基金等の失望売りも、下落に拍車をかけた一因と言われています。
一方、2018年の原油生産量は米国が1位、ロシアが2位、サウジが3位であることが明らかになっています。米国の原油生産量が復活したことに加え、2017年1月から続く協調減産のためにサウジが大幅に増産できないことが要因とみられます。
2019年6月下旬にOPECは総会を開催する予定です。その際、減産を終了するのか、継続するのかが決まります。サウジがもし、今でもシェアを優先しているのであれば、今度の総会で減産終了、もしくは昨年と同様、限定的な増産を可能にした減産継続、という判断が下される可能性があります。
今後も、サウジのシェア獲得への温度感、その時の原油相場、サウジを取り巻く政治的な環境、米国の原油生産動向など、OPECの政治的判断を左右するさまざまな要因に幅広く、注目していくことが重要です。