2023年1-3月期に大幅増収増益、旅行需要の回復で急回復持続へ
現地コード | 銘柄名 |
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00780 |
同程旅行 (トンチョン・トラベル・ホールディングス) |
株価 | 情報種類 |
15.16HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国のオンライン旅行大手、同程旅行の2023年1-3月期の純利益は前年同期比290%増の3億7,900万元と、四半期別で過去最高益を達成し、市場コンセンサス予想を上回った。BOCIは「市場は今後もこの勢いが続くか疑問視している」と指摘しながらも、旅行者の行動が変化する中、市場シェアの拡大と収益化を通じて、同社がこうした懸念を払拭(ふっしょく)すると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
ゼロコロナ終了後の社会活動の再開に伴う旅行需要の急回復を受け、1-3月期の売上高は前年同期比50%増の26億元、純利益は290%増の3億7,900万元を記録した。コロナ前の2019年1-3月期の実績との比較でも、売上高が145%、純利益が388%に当たる水準を記録している。部門別では宿泊予約が最も好調で、1-3月期の宿泊日数は2019年同期を130%上回る数字。市場の予想を上回った可能性が高いという。
5月のメーデー連休中とその後の業務統計も極めて力強く推移しており、BOCIは続く4-6月期も、前四半期の勢いが続くと予想。短距離旅行を中心に、同社の市場シェアの拡大を見込み、GMV(流通総額)の伸びで市場平均を上回るとみる。試験勉強用やコンサート用の宿泊など、同社が特定の需要を効果的に取り込んでいることがその一因。経済的な逆風下にあっても消費者の旅行意欲は旺盛であり、同社はこうした消費者嗜好の急激な変化をよく観察しているという。BOCIはこうした要因から、前年同期実績の低い2023年上期の売上高について、前年同期比75%増を予想している。
同社の今後の課題はMPU(月間課金ユーザー)基盤の拡大。そのためには適正ROI(投資収益率)を保ちつつ、マーケティング費を積み増す可能性が高い。「黒鯨(Black Whale)」プログラムの会員数の伸びが収益増に貢献している現状から、BOCIはこうした戦略は有効との見方。同時に、ホテルマネジメントなどの新規ビジネスに対しても期待感を示している。オンライン旅行代理大手としての地位の強化に貢献するとともに、純利益率の確保にもつながる見通しという。
BOCIは1-3月期決算の予想上振れを受け、2023-24年の予想EPS(1株当たり利益)を11-12%増額修正。WACC(加重平均資本コスト)とターミナルバリュー(残存価値)伸び率を15.6%、4.0%と想定した上で、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。新たな目標株価は2023年、2024年の予想PER(株価収益率)で、43倍、30倍に相当する。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては旅行市場の回復ペースが減速する可能性や、大株主との関係悪化、市場競争の激化、市場シェア維持を目指した費用増などの可能性を挙げている。