ビルダーバーグ会議においても主要な議題となったAI(人工知能)
オープンAIのサム・アルトマンCEOが5月16日、米国議会上院司法委員会が開いた公聴会に出席し、AIに対する今後の方針として「利点を伸ばす一方で、AIの害を最小限に抑えるための政府による規制介入が重要になる」との考えを示した。
今回の公聴会においてアルトマンは、ChatGPTを使って法案を書かせるというデモンストレーションを行い、多くの議員を驚かせたと伝えられている。
2時間にわたり講演を行ったアルトマンは、AIにまつわる安全基準の設定およびAIの一般公開前に行うテストの確立、独立監査人による公開前の検査などを提案し、「ますます強力になるAIモデルのリスクを軽減するためには、政府による規制の介入が重要になると考えている」との見解を示した。
ただし、アルトマンは「オープンAIがこれまでに展開したツールの利点はリスクを大きく上回ると考えている。私たちは新しいシステムをリリースする前に大規模なテストを実施し、安全性と監視システムを導入している。
AIというテクノロジーは雇用市場に大きく影響をもたらすが、影響を乗り越えた先にははるかに大きな仕事がある」と述べ、AIの可能性と先行きに対しては前向きな姿勢を示した。
目下のところAI技術は世界の話題の中心だ。
マイクロソフト(週足)
エヌビディア(日足)
NVIDIA はAIへの期待からPSR29 倍、PER182 倍で取引されている
エヌビディア(週足)
世界の権力者が集うビルダーバーグ会議の第69回会合が5月18日から21日の日程でポルトガルのリスボンで開催された。ビルダーバーグ会議は欧州と北米の対話を促進することを目的に1954年に設立され、政治家、産業界、金融界、労働界、学界、メディアから120〜140人の専門家が招待される会議である。
ビルダーバーグ会議は、主要な世界を取り巻く課題について非公式に議論する場で、参加者は公的な立場ではなく個人として参加し、職場の慣習や事前に合意した立場に縛られることはないという前提の上に運営されている。
参加者は受け取った情報を自由に使用できるが、発言者や他の参加者の身元や所属を明らかにすることはできないという「チャタムハウス・ルール」に基づいて開催され、決議案も提案されず、投票も行われず、政策声明も発表されない。これらがこの会議の神秘性を高めている背景でもあろう。
今年の主な議題は「AI」、「銀行システム」、「中国」、「エネルギー転換 」、「欧州」、「財政問題」、「インド」、「産業政策と貿易」、「NATO」、「ロシア」、「国境を越えた脅威」、「ウクライナ」、「米国のリーダーシップ」の13項目が挙げられている。
前述のオープンAIのサム・アルトマン、マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、パランティア・テクノロジーズのアレックス・カープCEO、グーグルのエリック・シュミット元CEOなど、ハイテク、AI業界の大物たちも勢ぞろいするという。
この他、ファイザーのCEOやティールキャピタル創業者のピーター・ティール、ゴールドマンサックスのジョン・ウォルドロンも参加する。また、元米国国務長官ヘンリー・キッシンジャー、NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグ、ウクライナ外相のドミトロ・クレバなど政治界の重鎮も加わる。
今回の会議の議題の中で一番上にAIが取り上げられたことについて、米CNBCは「AI技術の急速な発展に対する懸念が、世界的に大きくなっているという点を示している」と分析した。一部企業では、業務においてChatGPTの利用を制限するといった動きも出てきている。
規制が議論されるということはそれだけ影響力が大きいということだろう。生成AIをめぐる話題は今後さらに大きくなっていくだろう。