2023年1-3月期は全事業部門が堅調、次の成長局面入りへ

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント)

株価 情報種類

342.80HKD
(5/18現在)

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 中国の有力ネット企業、テンセントの2023年1-3月期決算は、全事業部門の増収と粗利益率の改善を背景に、純利益(非GAAP)が前年同期比27.4%増加。市場の予想を2%下回ったものの、BOCIの予想を4.4%上回る水準に達した。ゲーム部門の売上高は主力タイトルと新規タイトルの好調で予想以上の伸びを達成し、広告部門の収入も消費の回復や万能アプリ「微信(海外版はWeChat)」および動画アカウント広告の収益化で17%増を確保。企業向けサービスとクラウド事業は再編を経て、成長性と利幅が改善した。BOCIは目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期の売上高は前年同期比で10.7%増、前四半期比では3.5%増の1,500億元。市場予想とBOCIの予想をいずれも上回った。粗利益率は前年同期を3.3ポイント上回る45.5%。部門別では、◇高利幅のゲーム事業収入の回復で付加価値(VAS)部門の粗利益率が3.4ポイント改善した、◇動画アカウント広告の旺盛な需要を受け、広告部門の粗利益率が5.0ポイント改善した、◇クラウド業務の高効率化を伴う良質な成長やライブ配信型ECの初期技術収入が寄与し、フィンテック・企業向けサービス部門の粗利益率が2.9ポイント改善した。非GAAPの純利益は前年同期比27.4%増の325億元。主に海外子会社に絡む繰延税関連の一過性の調整が響いたとみられ、市場予想を2%下回った。

 ゲーム部門では収益化を優先する事業戦略と強力な作品群を強みに、国内だけでなくグローバル市場においても主導的地位を固め、1-3月期の収入は国内で前年同期比6%増、海外では25%増に加速した。BOCIは続く4-6月について、各7%増、15%増を見込む。

 広告事業部門は機械学習モデルの改善と消費の回復を背景に、1-3月期に成長軌道を回復した。特に大手のECプラットフォームがテンセントの機械学習プラットフォームに対応したことがコンバージョン率(広告を介して集客したユーザーのうち成約・成果に結びついた割合)の向上に寄与した形。動画アカウント広告の好調とeCPM(有効インプレッション単価)の高水準の推移で、万能アプリ「微信」が広告収入の約5割を占めた。モバイル広告ネットワークの収入も、投資リターンに敏感なECプラットフォームの広告主の取り込みに成功したことで好調。続く4-6月期は前年同期実績が低く、広告収入の伸びが加速する見通しという。

 BOCIは売上構成の優良化(ゲーム収入の比重拡大と動画広告の収益化の加速)に伴う予想粗利益率の引き上げに伴い、2023-25年の予想純利益(非GAAP)を2.8%、5.5%、3.0%増額修正した。また、利益見通しと目標算出ベースの引き上げにより、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を上方修正。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては政府による規制強化の可能性や、成果報酬型広告市場における競争激化の可能性を挙げている。