世界的な原発「復興」が追い風、供給ひっ迫でウラン価格上昇か

現地コード 銘柄名
01164

中廣核礦業

(CGNマイニング)

株価 情報種類

0.86HKD
(5/12現在)

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 世界的な原子力発電継続への機運の高まりを受け、ウラン価格は年初から小幅に上昇した。昨年記録したピーク水準を更新するには至っていないが、スポット市場における取引量の大幅な縮小は供給ひっ迫感の高まりを示唆する現象。需要家である電力会社が期間契約を通じたウラン確保に積極的に動いている現状をうかがわせている。供給ひっ迫感がただでさえ強い中、仮に対ロシア制裁が今後さらに強まれば、ウラン相場が一段と上向く可能性もある。BOCIはこうした状況から、中国広核電集団傘下のウラン商社、中廣核礦業の目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 世界的に見ると、ドイツとベルギーは2023年1-3月期に脱原発計画を推進したが、その他の国・地域では既存の原子力発電所の運転期間を延長する動きが主流。さらに1-3月期には運転を開始した新規の原子炉が、廃炉分の容量をほぼ相殺した。世界原子力協会のデータによれば、世界で現在建設中の原子炉は60基。原発業界は再び成長軌道に乗りつつある。

 BOCIによれば、地政学的な緊張を背景にウランの受給ひっ迫感はこの先さらに高まる可能性がある。少なくとも2022年2月以降、石油、ガス、石炭市場で見られたような供給面の混乱をウランもたどる可能性が高いという。G7(主要7カ国)のうち、脱原発を目指すドイツとイタリアを除く5カ国は4月、核燃料サプライチェーンにおいて、ロシアへの依存度を減らす方針を発表した。ロシアは世界6位のウラン生産国で、世界の一次供給量に占める割合は2021年に5.5%。ウラン濃縮市場ではさらに大きなシェアを持つ。仮にG7のイニシアチブが実現すれば、調達ルート変更による影響だけを考慮してもスポット取引、ターム(長期期間)取引の両市場で受給のひっ迫感が高まる可能性が高い。

 UxCとTradeTechのデータを見ると、ウランのスポット取引は昨年以来低調で、総取引量に占める割合はわずか15.6%にとどまる。BOCIによると、これも供給ひっ迫のシグナル。ウラン採掘者が直接、買い手を見つけることが容易であるために、トレーダーやその他仲介業者を頼る必要が薄れているという。

 中廣核礦業の発表によれば、同社の2023年1-3月期の生産量は590.9tU(金属ウラン重量トン)と、目標の99.4%相当。カザフスタンのCentral Mynkuduk鉱区で計画の95.9%にとどまったが、これは一時的な硫酸不足が原因であり、今後は通期計画の達成に向けて生産を加速するとみられる。

 BOCIは中廣核礦業を、世界的な原発「復興」による直接の恩恵銘柄であると指摘。ウラン価格の上昇が今後の支援材料になるとみて、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、ウラン鉱山の操業に予想外のトラブルが生じる可能性を挙げている。