不動産業界の再編で投資機会拡大、株主割当増資で83億HKドルを調達へ
現地コード | 銘柄名 |
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00123 |
越秀地産 (ユエシュウ・プロパティ) |
株価 | 情報種類 |
11.10HKD |
株価 企業情報 チャート |
広州市政府系の不動産デベロッパー、越秀地産はこのほど、既存株100株につき30株の比率で、最大9億2,890万株の株主割当増資(ライツイシュー)を実施する計画を発表した。割当価格は1株当たり9HKドルと、発表直前の終値に対して28.3%のディスカウント水準。これにより、最大約83億6,000万HKドル(費用控除後では約83億HKドル)を調達する。親会社は変更不可形式で、権利分の全額を引き受けることを約束済み。増資後の発行済み株式総数は40億2,540株(増資前は30億9,650株)となる。BOCIは取引費用や受取利息の増加による影響を考慮した上で、このライツイシューによる2023-24年のEPS希薄化率が17.0%、21.8%、21.9%になると分析。同社が中国不動産業界の先行きに対する自信を示したことに言及し、今回の調達資金がさらなる投資機会を支える見通しを示した。不動産市況の持ち直しと業界統廃合が進む中、調達資金の先々のリターンを楽観視し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
不動産業界で統廃合が進む中、越秀地産は「勝ち組」の一つとなっている。積極的な開発用地の取得を、業界トップクラスの販売伸び率につなげており、2022年には成約額が前年比でプラス成長を達成した希少なデベロッパーの1社となった。続く2023年1-3月には、成約額が前年同期比217.3%の大幅増を記録している。
BOCIは今回のライツイシューの背景には、二つの側面があると指摘している。一つ目は、市況の底入れと業界再編の下、一定のリターンが見込める投資機会が増加していること。もう一つは大都市部で土地を取得する際の資本要件が高まり、大手デベロッパーに比べて規模が小さい同社の資金負担が増していること。同社経営陣は北京市の土地2カ所の取得に計50億元余りを投じたとし、この金額を考えれば、83億元の資金調達は過大とは思えないと指摘している。一方、経営陣によれば、中核都市の土地市場では2023年に入って競争が激化しているものの、民営デベロッパーの多くはいまだ参加しておらず、期待リターンは適正水準にあるという。
BOCIはライツイシューによる希薄化効果を反映させる形で、同社の予想NAV(純資産価値)を10.6%引き下げ、新たに1株当たり15.31HKドルに設定した。これに伴い、市場環境の改善や財務リスクの低減、将来的なプロジェクトのリターン見通しの改善などを考慮。予想NAVに対する目標株価のディスカウント率を25%から20%に変更した。現在株価は2023年予想PBR(株価純資産倍率)0.7倍で、対予想NAVでは27%のディスカウント水準。業界トップクラスの成長性や財務リスクの低さ、適切なROE(自己資本利益率)を考慮すれば、割高感はないとみて、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング面のリスク要因としては、不動産分譲価格を上回るペースで土地使用権価格が上昇した場合に、リターンが低下する可能性を挙げている。