「中国輸出禁止・輸出制限技術目録」に含まれたレアアース

 冒頭のニュースに話を戻します。昨年12月30日、中国商務部と科学技術部が連名で「中国輸出禁止・輸出制限技術目録」のパブリックコメント(意見公募)向けの改定案を発表しました。意見公募は今年1月中に終了、現在両部を中心に改定作業を行っており、遠くない将来、正式な「目録」が世に問われることになるでしょう。

 輸出禁止を巡る参考原則の一番目に、「国家安全、社会公共利益、あるいは公共道徳を守るという観点から輸出を禁止する必要のあるもの」とあります。禁輸措置は国家安全保障戦略であるということです。中国の輸出は、(1)自由に輸出ができるもの、(2)輸出が制限されるもの、(3)輸出が禁止されるものの三つで構成されており、目録には(2)と(3)に関する項目がそれぞれリストアップされています。

 読売新聞の記事が取り上げたのが、禁輸部分の第十一項目。以下のように記載されています。

番号 業界分野 コード番号  技術の名称 コントロールする上での要点
11 非鉄金属製錬・圧延加工業 213301J レアアースの抽出・加工・利用技術 ・レアアース抽出・分離技術
・希土類金属および合金材料の製造技術
・サマリウムコバルト、ネオジム鉄ボロン、セリウム磁石の製造技術
・希土類オキシホウ酸カルシウムの調製技術

「コントロールする上での要点」に含まれるネオジムやサマリウムコバルトは、レアアースを用いた高性能磁石で、EV、スマートフォン、エアコン、航空機、ロボットなどにも使用される資源です。米国や日本が対中国で規制を強化している半導体産業にも深い次元で関わってきますし、日本企業の開発、生産活動への質的影響も必至と言えるでしょう。