2022年下期は56%増収も利益率悪化、2023年の売上目標は600億元

現地コード 銘柄名
06618

京東健康股フン有限公司

(ジェイディー・ヘルス)

株価 情報種類

60.45HKD
(3/24現在)

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 医薬品のネット通販最大手、京東健康の2022年下期の売上高は前年同期比56%増の265億元と、市場コンセンサス予想、BOCIの予想をそれぞれ11%、10%上回った。ゼロコロナ政策が終了した12月の数字が下期の売上高の押し上げに寄与した。ただ、感染爆発などの影響で、下期の粗利益率は過去最低レベルの20.7%に沈み、営業利益率もマイナス0.4%と、市場の予想を下押しした。続く2023年について、同社が示した売上目標は600億元と、かなり野心的な数字。前年実績の高さにもかかわらず、前年比30%超の増収を見込む。BOCIは同社が2023年に、いくつかの主要分野で投資を強化すると予想。また、独自の強みと執行力を背景に、引き続き直接販売部門が成長けん引役になるとみている。2023年の予想売上高を引き上げる半面、予想純利益を減額修正。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣が示した2023年の売上目標600億元は、市場予想とBOCIの予想をそれぞれ2%、10%上回る数字となる。BOCIによれば、これは短期的に主要分野への投資を強化し、アフターコロナの市場でリーディングポジションを強化しようとする積極的な経営姿勢の表れ。自前の強力なサプライチェーンや3種のECモデルの統合、SKU(最小の在庫管理単位)の拡大、他社との提携や効果的なプロモーション、オムニチャネル構想、クロスセル(セット販売の提案)能力などを活用したAAC(年間アクティブユーザー数)とARPU(ユーザー1人当たり月額収入)の拡大を支えに、2023年も直接販売ビジネスが成長エンジンとなる見通しという。BOCIはまた、2022年に記録的低水準に沈んだ粗利益率について、スケールメリットや高利幅製品へのシフトにより、2023年には段階的に改善するとの見方。事業運営費の増額を見込み、同年の予想純利益を23%引き下げながらも、純利益率については前年比0.2ポイント上昇の1.0%を予想している(国際会計基準IFRSベース)。

 2022年下期の売上高は前年同期比56%増。12月のゼロコロナ政策の終了を受け、製品、サービスの売上高がそれぞれ前年同期比59%増、38%増の229億元、36億元に達した。ただ、粗利益率、営業利益率は感染爆発が響いて悪化。12月の情勢による同社への影響は好悪まちまちだった。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を小幅に引き上げた。新たな目標株価は2023年、2024年の予想PSR(株価売上高倍率)で3.5倍、2.9倍相当。目標算出に当たっては引き続き、WACC(加重平均資本コスト)を10.0%、ターミナルバリュー(残存価値)伸び率を5%と想定した。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、規制(政策)面の変化や投資の失敗、親会社のJDドットコム(09618)グループによる支援の不足、市場競争の激化などの可能性を挙げている。