2022年決算は11%増益、中国経済の回復見通しで2023年業績を楽観
現地コード | 銘柄名 |
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03360 |
遠東宏信 (ファーイースト・ホライゾン) |
株価 | 情報種類 |
6.83HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国中化集団系の有力ファイナンスリース会社である遠東宏信の2022年12月本決算は、純利益が前年同期比11.2%増と、BOCIの予想と合致した。純金利マージン(NIM)の改善や資金運用平均残高の拡大、資産の優良性などが背景。不動産市況の低迷とゼロコロナ政策を受けた中国経済の減速にもかかわらず、資金運用残高を拡大し、利益成長を確保した。2019-21年に年率平均12.8%増加した資金運用残高は、2022年に前年比4.7%増。NIMは前年比で0.61ポイント上昇している。BOCIはゼロコロナ政策の終了に伴う国内経済の回復を理由に、2023年には資産運用残高と純利益が前年比9.3%、14.1%増加すると予想。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
同社は過去3年間にわたって優れた資産の質を維持してきた。不良債権比率は2021年の1.06%から、2022年には1.05%に改善。商業銀行セクターの1.63%より低水準に抑えた。30日以上の延滞債権比率は2021年の0.94%から2022年に0.91%に低下。また、不良債権引当カバー率(貸倒引当金÷不良債権残高)は2021年に242%、2022年に240%と高水準で推移した。BOCIは2023年も優れた資産の質を維持すると予想。不良債権比率は1.03%へ、さらに低下するとみる。
NIMも2015年から改善傾向を示し、商業銀行セクターを上回る水準にある。続く2023年には資産利回りの堅調と資金調達コストの低下を背景に、前年比でさらに0.1ポイント上昇し、4.77%に達する見通しという。
主要子会社の中では、設備機器のオペレーションサービス大手、宏信建発(Horizon Construction Development)が2022年に前年比20%の増益を達成し、遠東宏信の純利益全体の14.8%を占めた。半面、病院経営チェーンの宏信健康(Horizon Healthcare)は38%の減益となり、利益構成比はわずか1.4%。続く2023年について、BOCIはそれぞれ前年比23%、15%の増益を予想している。
中国のファイナンスリース業界は規制強化を受けて集約傾向にあり、2019年末に1万2,182社を数えた企業数は2022年末に9,840社に減少した。BOCIはこの先さらに集約が進み、競争力の強い大手に有利になると予想。遠東宏信の一段のシェア拡大を見込む。
遠東宏信の現在株価は2023年予想PBR(株価純資産倍率)で0.53倍。BOCIは資産の質や利益成長見通し、高ROE(株主資本利益率)に目を向け、同社株が過小評価されているとの見方。2023年のROAE(平均株主資本利益率)については14.3%との予測を示した。2023年予想PBRで0.88倍をあてはめ、目標株価を小幅に下方修正しながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
一方、レーティング面の潜在リスク要因は中国経済の大幅減速。仮にそうなれば、資産運用勘定の伸びが鈍化し、不良債権リスクにも直面する可能性があるとしている。