1.2021年末以来の業種別リターンは銀行が1位
全体パフォーマンスが横ばいの中、業種間のリターン格差は非常に大きい
図表1は、TOPIX(東証株価指数)およびTOPIX-17業種の2021年12月末以来のパフォーマンスです(2023年2月末まで)。
市場全体であるTOPIXがほぼ横ばい(1992.33(2021年12月末)⇒1993.28(2023年2月末))となっている中、ベスト・パフォーマーの銀行が+46.2%、2位の鉄鋼・非鉄が+27.6%、3位のエネルギー資源が+24.6%と大幅に上昇したのに対し、市場参加者の人気が高いと思われる電機・精密はワースト・パフォーマーの▲16.8%と、リターン格差が大きく広がっています。
「株式投資は企業業績の成長に投資する」という投資の王道を考えると、日本経済の成長をけん引し、外貨も稼ぐ電機・精密や自動車関連のパフォーマンスが著しく悪く、相対的に成長が期待しにくい銀行や鉄鋼、エネルギー関連のパフォーマンスが良いというのは、投資環境としてはなかなかやりにくい環境だったなと考えています。
[図表1] TOPIX-17業種の2021年12月末以来のリターン(2023年2月末まで)
2.四半期ごとにパフォーマンスが激しく移り変わる
四半期ごとのパフォーマンスにヒントがあるのか?
図表2は、TOPIXおよびTOPIX-17業種の四半期ごとのパフォーマンスです。各四半期における横比較で、好パフォーマンス業種ほど赤やピンク色系、さえないパフォーマンス業種ほど青や水色系を付けています。
全期間でベスト・パフォーマーだった銀行は2022.4Qに顕著な好パフォーマンスとなり、2位の鉄鋼・非鉄は2022.1Qや足元のパフォーマンスが目立って好調、3位のエネルギー資源は2022.1Qが非常に好調でした。ずっと好パフォーマンスだったわけではなく、ある特定の期間で大きく上がっていたようです。
結局、このような業種パフォーマンスの大きな差はどこから生まれてくるのだろうかと考えてみると、2022年という年は成長に期待できなかった年であったことが影響しているのではないかと考えています。
世界的にインフレと金融引き締めに苦しみ、コロナ禍での過剰投資などの反動も重なり、それまでの相場をけん引してきたテクノロジー業種中心に業績が悪化しました。
「成長」という投資の王道テーマを失ったマーケットは、「成長」以外のサブテーマを模索し、短い期間ながらもさまざまなサブテーマを追いかけながら銘柄物色をしてきた結果が、2022年のマーケットだったと考えています。
エネルギー価格が上がっていた2022年序盤はエネルギー資源が、日本銀行の金融政策の変更期待が高まった2022年終盤は銀行が、そして、中国のゼロコロナ政策解除に伴い中国需要の回復期待が高まった2023年初頭に鉄鋼・非鉄が物色されたのでしょう。