年初めの1月、2月のプラチナ価格は、過去25年間の例を見ても非常にパフォーマンスが良い。今年はさらに南アフリカの電力不足問題が第1四半期の鉱山供給に影響を及ぼすことが考えられるため、この2カ月間の価格の動きがさらに投資家にとって有利になる可能性が高い。
各月のプラチナのプライスリターンを過去25年間にわたって分析したものを見ると、平均して1月と2月の価格が最も成績が良いことがわかる (下図と図1参照)。このふた月を合わせたリターンの平均は 7.7% で、25年の間に1月と2月がネガティブだったのはわずか2年しかない。それと対照的に、年半ばの各月のプラチナ価格のパフォーマンスは年末にかけて回復するまで、目立った動きがないのが通常だ。
図3に示したように、鉱山の精錬プラチナ供給は季節的な要因に大きく左右され、通常、第1四半期の生産は一年を通じて最も少ない。これはクリスマス休暇・夏季休暇明けとなる南アフリカで操業が軌道に乗るのに時間がかかるためとされている。従って、1月と2月のプラチナ価格が上昇する傾向にあるのは、季節的な要因で第1四半期の精錬プラチナ生産が低いことに関係があると考えられる。
1月と2月のプラチナ価格が高くなりがちなのは、クリスマス休暇明けの南アフリカの鉱山生産が低いことと関係がある可能性
2023年1月の鉱山生産は低いが、電力消費量が少ない夏季にもかかわらず南アフリカの電力供給が悪化しているため、生産量はさらに減少する可能性も
例年同様に生産が少ない今の時期、電力が不足している南アフリカでは、鉱山採掘、製錬、および精錬に必要な電力が制限されて、今後生産がさらに圧迫されることが考えられる。南アフリカの国営電力会社のEskomは、電力供給が足りない中で送電網の負担を制御するために計画的な停電の頻度を増やしており、状況は深刻化している(上の図、図3を参照)。
電力不足で鉱山の精錬プラチナ生産が減り、それがプラチナ価格を押し上げる要因となる一方で、価格が上がれば中国の過剰な輸入にストップがかかり、価格のさらなる上昇は実現しない可能性もあることも忘れてはならない。というのは、今までのレポートで述べてきたように、中国はプラチナ価格が下がった時に大量に買う動きを見せており、実際、昨年11月にプラチナ価格が高騰した時には輸入量が減っているからである。
プラチナ価格が1月、2月は高くなりがちな背景には、第1四半期の鉱山の精錬プラチナ生産が例年低いことがあるが、2023年は、南アフリカの電力供給の問題で、鉱山生産はさらに圧迫される可能性がある。
投資資産としてのプラチナの魅力
- 新たな鉱山投資にもかかわらず、供給にはさまざまな障害
- 自動車のPGM需要は、ガソリンエンジンにおける代替の動きにより今後も成長
- プラチナ価格は依然として過小評価されており、金とパラジウムと比較しても大幅に低い。
- 中国の需要を超える大量輸入で現物の不足とリースレートの上昇
- WPICのリサーチではプラチナ市場は2023年から供給不足となり、その後も不足は拡大
図1:プラチナの月間プライスリターン。過去25年間、毎年1月と2月の平均リターン率はほぼ8%で、非常に良好なパフォーマンスを記録
図2:毎年第1四半期の鉱山の精錬供給が低いのは、クリスマス休暇・夏季休暇明けの南アの状況を反映しており、その時期にプラチナ価格が高くなりがちな背景である可能性もある
図3:毎年第1四半期の鉱山の精錬供給は低いが、今年は、南アの電力不足が夏季で消費電力が少ないにもかかわらず悪化している状況から、生産がさらに圧迫される可能性もある。計画停電は電力が不足する中で送電網を制御するために行われる。
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