コンビニで働きながら株式投資を行い、ブログやツイッターで投資情報を発信、やがてその手法が注目されるようになり、2冊の投資本を出版──。今回は、そんな経歴を持つ、前畑うしろさんにご登場いただきました。

 投資歴は15年以上。投資を始めたばかりのときは個別株投資を行っていましたが、思うように結果が出ないことから、投資戦略を見直し。以降、日経平均株価の動きに連動する2種類のETF(上場投資信託)に絞って売買するという手法で利益が出るようになりました。

 まず前編では、これまでの投資歴、さらにはなぜコンビニで働いているのかについて伺いました!

[前畑うしろさんプロフィール]

 元信用組合職員、現コンビニ店員という異色の個人投資家。日経平均株価の動きに連動する2種類のETFに投資し、堅実に稼いでいる。ブログ[コンビニ店員 前畑うしろの「欲張ったらあきまへん!」][うしろのうしろ]やTwitter(@maehata_ushiro)で投資情報を発信。著書に『ポケットマネーではじめる 月1500円のETF投資』『スマホさくさくポイント投資、少額投資』がある。

投資&コンビニ勤務で、起業資金を構築

──前畑さんは学校卒業後、信用組合に就職し、今はコンビニで働いているとのことですが、起業を目指していた時期もあるそうですね。

前畑さん 私の父が、自分のアイデアを商品化して特許を取るなどしていた、いわゆる発明家でした。私も父の影響を受け、「自分の考えた商品が世の中に出まわって、人の役に立てたらいいな」という夢をかなえるために、美容グッズや健康グッズを試作し、商標を出願したり、登録したり、特許庁の審査で援助を受けて意匠を登録したりしていました。

 今も夢をあきらめたわけではなくて、コンビニ勤務と、投資と並行して、いろいろアイデアを温めているところです。

──信用組合は何年くらいお勤めされたのですか?

前畑さん 6~7年くらいですね。信用組合は吸収合併による人員削減で、依願退職しました。その後、福祉関連の営業マンとして10年程正社員で勤務しました。この会社を退職後は、自分の商品アイデアを企業に売りこんだり、積極的にがんばったのですが、なかなか実らず…。

 それなら投資で資金を貯めて起業し、自分で商品化したいと思うようになり、投資に本格的に取り組むようになった次第です。

──今もコンビニで働いているそうですが、コンビニ勤務は何年くらいになるんですか?

前畑さん もう10年近くになりますね。まだ起業を諦めたわけではないので、正社員として働く気はなくて、近所のコンビニでバイトを始めたんですが、働いているうちにだんだん楽しくなってきて、今に至ります。

──フルタイムで働いているのですか。

前畑さん いえ、早朝だけです。週5日、朝6時から9時まで働き、家に帰ります。妻も会社員として働いているので、時間に融通が利く私が家事全般を担っているため、毎日忙しく過ごしています。

──ほかにもアルバイトはいろいろあると思うのですが、なぜコンビニなのですか?

前畑さん まずは、朝3時間だけ、という働き方が可能なところ。もともと朝型なので早起きは苦痛ではないんです。

 さらに、コンビニは、流通の最先端で、新製品が一番に棚に並ぶ場所でもあります。今、何がはやっているか、どんなものを、どんな人が買っていくのか、というトレンドが手に取るようにわかります。

 その上、電子マネー決済とか、世の中を先取りしたサービスをいち早く導入するので、社会の変化についていきやすいというのも利点ですね。コンビニで得たことや学んだことが起業や投資にも役立っていると思います。

――お話を伺っていると、とても自由な生き方でうらやましい…。ただ、奥さまは何も言わないんですか?

前畑さん 昔、投資で失敗した時もありましたが、今では損することなく、コンスタントに投資で利益は出せていますので、経済的負担というのはないんですが、私の自由な働き方に対して、今まで文句ひとつ言わず、全て容認してくれている、できた妻です。

 なので、今後も利益を出し続けて、メルマガの読者や妻にも感謝し、大きく利益を還元できればと思っています。

個別株投資では一山当たらず…ストップ安で青ざめた経験も

──株式投資はいつ始めたのですか?

前畑さん フリーター時代、図書館でたまたま投資に関する本を手に取ったのがきっかけです。タイトルは覚えていませんが、たしか表紙に「月100万円稼げる!」と書かれていました。それを真に受けたわけではありませんが、少しでも稼げれば独立資金の足しになるかもしれないと思って始めました。

──「月100万円」は稼げましたか?

前畑さん とんでもない、そんなに甘くなかったですよ(笑)。買った銘柄が狙いどおり上がって勝つこともありましたが、コンスタントに勝つのは難しかったですね。会社員時代も短く、貯金もそんなに多くなかったので、大金をかけてはいませんでしたから、大負けには至りませんでしたが、年間収支はマイナスの年が多かったです。

──当時は、何に投資していたんですか?

前畑さん 日本株の個別株投資です。グロース株のキャピタルゲイン狙いですね。株価が上昇しそうな銘柄に目を付けて安いうちに買って、上がったら売却して、その差益を狙うというやり方です。どちちかというとテクニカル重視で、チャート図とにらめっこしながら自分なりに上昇傾向をつかんで、テンバガー(株価が10倍になる株)期待の銘柄を購入していました。

 デイトレードにトライしたこともあります。でもデイトレードは、市場が開いている間、ずっと株価の動きを追っていなければならず、肉体的にも精神的にもしんどいので、「自分には無理」とすぐに断念しました。

──「一発ドカンと当てたい!」という性格なんでしょうか。

前畑さん そうなんです。それまでの私は、どうしても大きなリターンを狙いたいという気持ちが大きくて(苦笑)。でも、テンバガーを達成したみたいな自慢できる成果は、残念ながらありません。

 逆に大失敗ならいくつか経験があります。とある銘柄に期待して割と大きな額で購入したら、その企業の不正が発覚し、ストップ安になってしまい…。翌日も下落し続けたため、紙くずになってしまうかもしれないという恐怖に襲われ、売買が成立すると同時に売り払いました。結局、大損しました…。

──そんな経験を経て、ETF投資に行き着いたわけですね。

前畑さん はい。個別株投資で何度か大失敗し、手痛い結果を招いてしまって、さすがに「一発ドカンと当てる」が夢物語だし、プロではない自分には多分無理、ということが分かりました。ちょっと…いや、だいぶ遠回りしてしまいました(笑)。

 そこで、大もうけできなくてもいいから、確実に勝てる方法はないだろうかと考えて、たどり着いたのが、日経平均株価の動きに連動する二つのETFに絞って売買するという方法です。もちろん、投資に「確実に勝つ方法」なんてありません。でも、この方法なら、かなり勝つ確率を高められるのではないかと考えました。

──どういういきさつで、ETF投資にたどり着いたのですか。

前畑さん ETF投資が気になり始めたのは2016年ごろです。そのころは、ETFはまだ今ほど知られていなくて、投資メディアなどで取り上げられることもほとんどありませんでした。実際、買っている人も少なかったと思います。

 情報源も少なくて、今度もまた図書館で、1冊だけETFに関する書籍を偶然見つけたんです。読んでみたら目からウロコというか、なるほどこういう金融商品もあるのかと思いました。そこからはETF投資にだけ着目してさらに調べていき、日頃からのアイデア思考もあいまって、たった二つの銘柄だけの簡単ETF投資にたどり着きました。

――中編では、ETF投資の手法についてもっと詳しく伺います!

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