「GDP」とは?

 GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)とは、国内で決まった期間内に生産された商品やサービスの付加価値の総額を表します。算出する計算式は、民需(日本人の消費金額+国内企業の投資額の合計)+政府支出(政府が使った金額)+貿易収支(輸出額-輸入額)となります。つまり、「日本のGDP」=「日本がもうけた金額」ということになります。

 GDPは、国の経済規模や景気動向を示すものとしても用いられる指標です。

 GDPの約5割は私たちの家計が占めており、家計が経済に大きな影響を与えています。私たち一人一人の家計(個人消費)が、経済に影響を与え、「何を買うか、買わないか」という意思決定が社会を良い方にも悪い方にも変えてしまいます。

 さらに、前年のGDPと比較した場合の伸び率を%で表したものを経済成長率(GDP成長率)と呼びます。経済が好調なときは経済成長率が高くなり、逆に不調なときは低くなります。

 一般的に、経済成長率が高くなると、雇用が増え、給料が上がり、人々の将来の見通しも明るくなる傾向があるので、国はGDPの成長を目指しています。反対に経済成長率が低くなると、経済は縮小し失業者数が増加、給料が上がらない、もしくは下がってしまい、人々の将来の見通しも暗くなってしまう傾向があります。

 GDPと私たちの生活は密接な関係にあります。普段のなにげない買い物や支払いが、経済に大きな影響を与えています。GDPは、自分が経済を回している重要な人物の一人であることが分かる指標です。

どの国が豊か?名目GDPランキング(2021年)

1位 米国 23兆3,151億ドル
2位 中国 17兆7,341億ドル
3位 日本 4兆9,409億ドル
4位 ドイツ 4兆2,599億ドル
5位 インド 3兆1,763億ドル
6位 英国 3兆1,314億ドル
7位 フランス 2兆9,579億ドル
8位 イタリア 2兆1,077億ドル
9位 カナダ 1兆9,883億ドル
10位 韓国 1兆8,110億ドル
出典:外務省ホームページ

One More Point!

GDPには、「名目GDP」と「実質GDP」がある!

 GDPには「名目GDP」と「実質GDP」があります。

「名目GDP」とは、生産されたモノやサービスの価値を全て合計することで計算しますが、「実質GDP」とは、物価の変動などの影響を加味して算出します。例えば、インフレで物価が2倍になった場合、名目GDPも単純計算では2倍になります。しかし、経済が2倍に成長したわけではありません。経済の実情を知るためには「実質GDP」を参考にする必要があります。

 また、人口の多い国のほうが労働人口も多くなりがちなため、GDPは人口の多さにも影響されます。GDPが高くても人口がとても多い国は、見た目よりも豊かではないかも知れません。逆に、GDPがそれほど高くなくても、人口が少ない国は、少人数で高い生産力を持っている=数値から受ける印象よりも生活レベルが豊かである可能性があります。平均的な豊かさを把握するためには、GDPを人口で割った「一人当たりGDP」という指標が参考となります。

 例えば、日本は上記の「名目GDP」では3位となっていますが、「一人当たりGDP」では、27位です。2021年度の「一人当たりGDP」の1位はルクセンブルグ。ルクセンブルグは、近隣諸国に住んでいる多くの外国人が、ルクセンブルグに越境通勤してくる→ルクセンブルグ国民の労働者(母数)が少ないため、一人当たりGDPが高くなる、という理由があるようです。

 為替の変動、その国の物価なども影響するため、「国の豊かさ」を見るには、さまざまな数値や国が置かれている環境などを比較してみることも必要です。