皆さま、こんにちは。あっという間のお正月休暇。「お仕事モード」へのスイッチオン、スムーズに切り替わりましたでしょうか。

 上海は前週末に最高気温17度と良好な天気で人出も増えましたが、今週末は大寒波襲来で最高気温も一気に10度以上下がり、16日はさらに氷点下まで下がる見込みです。

 インフルエンザや新型コロナウイルスにお気を付けてお過ごしください!

感染ピークが終わった主要都市がにぎやかに!

 中国の主要都市である北京や上海における新型コロナウイルス感染率は、1月上旬までで80%以上に達し、感染ピークはすでに終えているといわれています。

 主要都市の空港や新幹線駅の出発ロビーはすでに大行列ができており、衣料店や売店など一部の商業施設では春節を迎えるための買い物ラッシュで混雑し始めました。

 今年の春節休暇は1月21~27日の7日間、その前後の40日間(1月7日~2月15日)は「春運」と呼ばれ、春節前後の帰省とUターンラッシュに伴う特別輸送体制を意味しています。

 中国地方では旧暦1月15日の「元宵節」をすぎないと、旧正月は終わらないともいわれます。「元宵節」は、ランタン祭りの開催がメインイベント、新年最初の満月を祝うお祭りでもあります。

 今年の春運期間は、ゼロコロナ政策緩和による影響で、帰省や旅行のニーズが大幅に増加すると見込まれています。中国当局によると、2023年春節の総旅客数は約21億人と前年から倍増し、新型コロナウイルス流行前である2019年比70%まで回復すると予想されています。

 40日間にわたる「春運」の期間中、首都北京市内の北京西駅を出発する乗客数は約368万人、上海各鉄道駅の出発客総計は前年同期比約4割増となる955万人に達すると予想されています。

 中国国内の航空便や国内ホテルの予約件数も急増し、価格もすでに昨年クリスマス前後の2倍以上まで値上がりしています。

 春運8日目の1月14日時点、中国全国の鉄道・道路・船舶・民間航空が輸送した総旅客数は4,226.8万人で、前年同期比57.2%増でした。

 深圳空港では、1月8日以降の旅客者数は連日10万人を超え、春運初日1月7日の発着便が905便に達し全国一位となりました。

 こうした中で中国当局は、民族大移動による主要都市から地方や農村部への感染拡大を懸念し、医薬品の供給体制を強化するなど警戒を強めています。

 上海政府は、帰省せずに年越しする市外からの勤務者、特に人手不足になりやすいデリバリー配達員に休暇期間中、毎日150人民元(約2,500円)を追加支給するなど春運期間中の移動を避ける対策も行っています。

中国人の購買意欲は世界経済の回復につながる?

 中国当局は、1月8日から新型コロナウイルス感染症を「乙類甲管」から「乙類乙管」に調整しました。

 中国への入境前48時間以内にPCR検査を受け、結果が陰性であれば入境できることで帰国手続きが簡単になるため、今後中国人の海外旅行意欲が高まりそうです。

 中国交通運輸部の徐成光副部長も1月6日の記者会見で、「この3年間に蓄積された帰省・観光ニーズが集中し、春運期間における旅客数の急上昇が見込まれる」と説明しました。

 国内で人気の目的地は北京、成都、昆明、上海、広州といった順で、国際線ではマカオ、香港、ソウル、台北、東京となっています。

 新型コロナウイルス流行以前を振り返ると、中国では東南アジアや日韓を中心とした海外旅行がブームとなり、旅行中の「爆買い」が各国各地での経済にも貢献していたところです。

「爆買い」の背景には、中国の税制や人民元の購買力向上による影響の他に、古くからの深い家族愛も関係しています。購入物は自身が全て使うものではなく、家族や親族、友人へのお土産・プレゼント分も多く含まれています。

 定番商品もこの数年間、変わりつつあります。2010年上海万博開催後は家電量販店で炊飯器や魔法瓶などの購入がメインでしたが、2015年ごろからはドラッグストアにある化粧品や風邪薬などの購入が目立ちました。

 2018年以降は団体旅行から個人旅行へのシフトが進んだことで「爆買い」もやや落ち着き、各国の現地文化や風景をゆったりと味わう旅行も好まれるようになりました。

 2019年における中国人の海外旅行者数は1億6,900万人と世界一位です。今回の政策緩和は、世界各地の観光業者にとっては大きな好機となり得ます。

 中国人観光客のポテンシャルを、観光業の振興ひいては経済の回復に結びつけたいところでしょう。

 日本でも、大きな買い物袋を抱えて歩く人々の姿がもうすぐ戻ってくるでしょうか?