ウルムチ市で発生した火災を引き金に全国に広がった「白紙革命」

 事の発端は、11月24日夜、新疆ウイグル自治区ウルムチ市にある高層住宅で発生した火災事件。これにより、少なくとも10人が死亡しました。同市内では100日以上実質封鎖状態にあり、地元政府による感染拡大防止措置が原因となり、車両が通れず消火活動が遅れ、火災からの救出を妨げた、故に助かる生命が助からなかったという声が上がりました。

 ウルムチ市政府は、25日夜に開いた記者会見で住民に謝罪し、犠牲者に弔意を表した一方、火災はコロナ感染者の出ていない低リスク地域の建物で発生したため、住民は下層階へ移動できたと主張。感染対策としての行動規制が原因で住民が脱出できず、死亡したという市民側の主張を否定しました。

 市民の怒りは収まらず、同日夜、ウルムチ市内では抗議活動が行われ、市民は「解封」(ロックダウン解除)を要求しました。そして、抗議活動は北京や上海など他地域にまで広がっています。

 11月27日、上海市の「ウルムチ中路」周辺で、ウルムチ市で亡くなった市民に哀悼を示す集会が行われました。ただ、哀悼集会だけでは収まらず、習総書記の退陣を要求し、言論の自由を求める抗議活動にまで発展していったのです。現場には多くの警官が駆け付け、一部抗議者と衝突、拘束される市民もいました。

 また、50を超える大学のキャンパス内でも抗議活動が起こっています。習氏の出身校である北京の清華大学でも「PCR検査は要らない、自由が欲しい」といった掛け声が発せられ、中には「清華大学の学生として、ここで意見を表明しなければ一生後悔する」と主張する学生もいました。

 そして、中国各地では現在「白紙革命」と称される運動が広がっています。A4サイズに代表される白紙を片手、あるいは両手で掲げることで、「言いたいことがあるが、それが言えない」、要するに、言論統制・検閲に対する抗議を示しているのです。

 私が本稿を執筆している11月30日現在も、中国各地では、北京や上海といった大都市を中心に、大量の警官が公共の場所に投入され、厳重な警備が敷かれています。まさに「警察国家」、「監視社会」を象徴する光景です。長期間続いてきた「ゼロコロナ」に対する不満、「ゼロコロナ」を背景に引き起こされた事件が引き金となり、中国社会における緊張状態は新たな、次なる段階へと発展していく可能性すら帯び始めているのです。