今後の見通し:「ゼロコロナ」策は解除されるのか?
今後の見通しですが、私は三つの点に注目しています。この3点は同時に、「マーケットのヒント」にもつながるでしょう。
一つ目が、足元の感染拡大がどう推移するかです。前述の北京を含め、中国の冬は全国的に寒く、ウイルスの感染拡大は他の季節に比べて容易に起こるでしょう。「20か条」で具体的な緩和措置は打ち出されたものの、例えば、今年4月の上海市のように、一つの地域で1日の感染者数が2万人を超えるような状況になれば、地方政府はロックダウン(都市封鎖)措置に踏み切るでしょう。その意味で、北京や広東という主要地域で感染が広がっているのは要注意です。
二つ目が、足元若干緩和された「ゼロコロナ」策が今後一層緩和する、あるいは解除の方向に向かうかどうかです。「20か条」は、中央政府としてそれ相応の準備と覚悟を持って打ち出したものであり、党大会後というタイミングでのメルクマール(指標)にしたかったと言えます。緩和と規制双方の強化を含め、感染拡大状況に伴い微調整は続けるでしょうし、国家衛生健康委員会の担当者が強調するように、「ゼロコロナ」策を「ウィズコロナ」にシフトするわけでは決してありません。時期として次の節目になるのは、来年3月の全人代でしょう。方向性としては、現状の政策を一層緩和するというものになると想定されます。
三つ目が、経済への影響がどうなるかです。2022年7-9月期のGDP(国内総生産)実質成長率は3.9%増と、4-6月期の0.4%増からは上向きましたが、年間目標の5.5%を達成するのは「ほぼ不可能」というのが大方の予測です。昨今の感染拡大も影響し、10-12月期も明白な景気回復は期待できそうにありません。2022年の中国経済は3%台に落ち着くのが現実的で、場合によってはそれを下回るかもしれません。
中央政府による具体的な緩和策を受けて、米ウォール街が中国市場、中国株への期待値を上方修正しているという情報も聞こえてきますが、引き続き、「中国はどうなるのか」に関して、予断を許さない状況が続くと思われます。