12月の株主優待銘柄
12月の優待株は12月28日(水)が権利付き最終日、翌日の12月29日(木)が権利落ち日。大納会となる12月30日(金)が権利確定日です。
優待の権利を取得するには、暮れも押し迫った28日(水)に優待株を購入し、翌29日(木)まで持ち越す必要があります。
12月優待は、12月末を決算期にする企業が多いため、174銘柄※。3月、9月に次いで優待株の多い月です。
※楽天証券 株主優待検索より
人気の優待株も、家計の節約につながる外食チェーンの飲食券やビールメーカー・日用品会社の自社商品優待、クオカードやカタログギフト優待など多岐にわたります。
人気8位以下で、外食に使えるおトクな食事券優待(いずれも12月、6月末の年2回優待)には、
- 「まいどおおきに食堂」のフジオフードグループ本社(100株で3,000円分。自社PB商品も選択可)
- 「築地銀だこ」のホットランド(100株で1,500円分)
- とんかつ「かつや」のアークランドサービスホールディングス(100株で1,100円分)
- ステーキ・ハンバーグレストランを展開するブロンコビリー(100株で2,000円分)
などがあります。
12月優待株の人気1位は、今回の2022年12月末優待で優待制度が廃止されるJT(日本たばこ産業)です。同社の優待は12月末に100株保有で2,500円相当の自社グループ商品(ご飯・カップ麺セット14食分)でした。
しかし、1年以上の継続保有が条件なので、今から同社の株を新たに買っても、もう優待はもらえません。
人気優待株だったJTの優待廃止は残念ですが、今後、同社は機関投資家なども恩恵を受けやすい株主配当金の増額に力を入れていく方針のようです。
2022年12月期の配当金は1株あたり合計150円に増配され、現在、2,400円台の株価に対する配当利回りは6%台に達しています。
同社は欧州や中近東など海外でのたばこ売上高比率が高く、1ドル150円台の円安は究極の追い風。
ロシア・ウクライナ戦争によるたばこの生産・販売リスクを抱えるものの、今期は大幅増収増益が見込まれています。
第2位は「ガスト」や「バーミヤン」などファミレス国内首位のすかいらーくホールディングス。12月、6月末に100株保有で2,000円分の株主優待カードが贈呈されます。
同社はコロナ禍によるファミレス離れや原材料高で今期は再び赤字転落の予想。株価も低迷。現在は、郊外ロードサイド店舗を中心に不採算店の閉鎖を進めています。
より筋肉質な経営体質になる来期2023年12月期以降の業績躍進に期待したいものです。
ただ、ファミレス業界は、優待株の中でもコロナ禍で最も深刻な打撃を受けた業種という面は否定できません。
第3位は、すかいらーくとは対照的にコロナ禍でも大きく業績を伸ばした日本マクドナルドホールディングス。
12月、6月末に100株保有で、バーガー類、サイドメニュー、ドリンク引換券6枚がセットになった優待食事券1冊という、不動の人気優待に変わりはありません。
同社の株価は、少し下がると、すぐに株主優待目的で個人投資家が株を買い支えるため、2017年後半から5,000円台前後で超安定的に推移。
配当利回りは0.7%台と低いものの、株価下落のリスクが少ない中で、100株あたり年間3,900円の安定配当がもらえる点も魅力といえるでしょう。
第4位は石油資源開発会社のINPEXが昨年より一つ順位を上げてランクイン。
優待取得には1年以上の継続保有、400株以上(投資金額約63万円)というハードルがありますが、12月末、400株保有でクオカード1,000円分が贈呈されます。
2年以上の保有になると2,000円分、3年以上だと3,000円分に増額されるため、長期保有がおすすめです。
同社は資源高を背景に業績も絶好調で、今期配当金は1株60円と大幅増配予定。配当利回りは4%台に達しています。
第5位はビールメーカーのキリンホールディングス。12月末に100株保有で1,000円相当の自社商品から選べます。選択肢は、ビール4本、清涼飲料7本、乳酸菌サプリメント1袋、キリンシティ食事券1,000円分などから1点選べます。
12月のビール会社優待には、アサヒグループホールディングスが12月末に100株保有で1,000円相当の株主限定プレミアムビール4本、酒類詰め合わせ6本、清涼飲料水・食品詰め合わせなどから1点選べる優待を実施しています。
また、サッポロホールディングスも12月末に100株保有でビール4本など1,000円相当の自社商品、3年以上継続保有で1,500円相当に増額可能な優待制度があります。
投資金額から見ると、20万円台のキリンHLDGが、40万円台のアサヒグループHLDG、30万円台のサッポロHLDGに比べて、資金効率がいいといえるでしょう。
第6位は日用品メーカー・ライオン。12月末に100株以上保有で一律に、歯磨き「システマ」、洗剤「NANOX」、柔軟剤「ソフラン」など6点の自社商品セットが贈呈されます。生活必需品ばかりなので、とてもトクした気分になる優待といえるでしょう。
第7位は不動産賃貸事業を行うヒューリック。優待取得には、12月末に300株以上(投資金額約31万円)の保有が必要ですが、3,000円相当のグルメカタログギフトが贈呈されます。
3年以上継続保有すると6,000円相当に倍増されるので、かなり豪華です。
第8位は化粧品メーカーのポーラ・オルビスホールディングス。12月末に100株保有で、株主優待15ポイントがもらえ、1,500円相当のボディシャンプーやサンスクリーンなど同社の商品と交換できます。
3年以上継続保有すると35ポイント(3,500円相当)に増額されます。
優待株をきっかけに高配当株投資にも挑戦!
2022年は12月優待のJTや3月優待のオリックス(2年後の2024年3月末でカタログ優待廃止)など、人気株の株主優待制度廃止が相次ぎました。
その理由になっているのが、優待制度は個人投資家には人気が高いものの、機関投資家には恩恵が少なく、不公平だというものです。
優待廃止企業の多くは、優待を廃止しておしまい、というわけではなく、今後、株主全員が利益を得られる株主配当金の増額や自社株買いなど、株主還元策をより積極化していくと思われます。
その意味では、現状でも配当利回りが6%台のJT、また4%台の配当利回りの高さから優待株としての人気も上昇中のINPEXなど、高配当株投資をメインにしたスタイルに切り替えるのも一つの考え方でしょう。
例えば、コンテナ船事業の飛躍的な高収益で、海運株の日本郵船の2023年3月期の配当金は1株あたり478円に実質大幅増額される予定です。現状、2,600円台の株価に対する配当利回りは、実に17%台に達します。
同社の株を3月末に100株保有していると、同社の観光事業「飛鳥クルーズ」が10%割引になる優待券が3枚ももらえますが、それはあくまでおまけ。
優待目当てというより、高額な配当金収入を狙った投資対象といえるでしょう。
それは、今後、配当金の還元で株主に報いる姿勢を打ち出しているJT、毎年のように配当金を増額し、500億円前後の自社株買いを行っているオリックスなども同じです。
楽天証券の「スーパースクリーナー」で配当利回りが5%を超える企業をスクリーニングすると、J-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)を含めて187社に達します。
空前の低金利に加え、物価高も続く今、高配当株なら、株主優待株以上に、貴重な現金収入を確保できます。
おトクな優待株投資は続けながら、優待制度はないものの、その分、株主配当金が魅力的な高配当株投資に目覚めてみるのもいいかもしれません。