1.TOPIX-17シリーズの足元のパフォーマンス
足元のパフォーマンス上位にインバウンド関連業種が顔を出す
図表1はTOPIX-17シリーズのパフォーマンスを見たものです。
期間は、TOPIX(東証株価指数)が今年の安値を付けた3月9日、その後の戻り高値を付けた8月17日をそれぞれ起点とし、10月12日現在のパフォーマンスを見たものです。8月17日以来のパフォーマンスでランキングしています。
上位業種に注目すると、運輸・物流、医薬品、不動産、食品、小売といった業種が上位に顔を並べています。
10月中旬から「全国旅行支援」や「訪日外国人客の入国制限解除」が始まり、今後、国内旅行需要を中心としたいわゆる「インバウンド需要」の高まりが期待されますが、株式市場は早速インバウンド需要の恩恵が大きそうな業種を物色しているようです。
[図表1] TOPIX-17シリーズの期間パフォーマンス
2.パフォーマンス上位5業種を確認
医薬品は高値を切り上げ、運輸・物流や小売りは出遅れ解消中
図表2は前掲した8月17日以来のパフォーマンス上位5業種とTOPIXの今年3月31日以来の株価推移です。医薬品は徐々に高値を切り上げ、食品は最初の勢いが徐々に弱まっている印象で、不動産は推移を見る限りは強い上昇トレンドは見られません。
一方、春先は出遅れていた小売や運輸・物流が夏場以降に同じようなパターンで勢いづいており、足元でも高値をうかがう勢いです。
好パフォーマンスの原動力ですが、医薬品は個別要因で動く傾向が強い業種であり、この期間でも、神経系領域で新薬の臨床試験に関する好材料を発表した銘柄が大幅上昇しており、個別銘柄効果で指数を押し上げています。
食品は国内でも今秋に一斉値上げが行なわれたことで、値上げが奏功し、業績改善期待で買われているものと考えています。
一方、夏場以降に勢いづいてきた小売や運輸・物流はインバウンド需要への期待が膨らんできた可能性があり、前半は出遅れていましたが、コロナの感染状況の改善、政府の旅行支援策、そして、国境制限緩和などを期待しての動きであると見ています。
以上から、インバウンド需要関連業種として、運輸・物流と小売を検証してみたいと思います。