【特別インタビュー】 |
▶【前編】国債以上、配当株未満?「あ、この感じの利回り投資はアリかも」という話 |
【後編】「優待+利回り」だけど、株じゃない?預貯金とインデックス投資の「間」かも |
※この記事は2022年10月18日に配信した記事を再公開しています。
2021年末に初めて2,000兆円を突破した日本の個人資産。その50%以上の1,092兆円は現預金で保有されています。しかし今、この現預金の使い方が難しい局面に来ています。その原因が年率2%を超える物価上昇。
普通預金で年率0.001%、1年物定期預金でも0.002%――。ほとんど利息がつかない現預金の価値は、物価上昇で逆に年率2%近く目減りしていることになるからです。
では、みんなが株式や投資信託などのリスク商品にシフトできるか?といえば、高いハードルに感じる人も多いはず。預貯金からの堅実なステップアップということなら、個人向け国債が思い当たりますが、現在の利回りは固定5年で年率0.05%、10年変動で0.16%とよい水準とは言いにくい。
改めて、株の世界を見てみると、日経平均株価に採用された225社の今期予想配当利回りは2.5%前後なので、預貯金から株の間がポコっと抜けているのがわかります。
そう、「1~2%の利回りでこつこつ資産形成できて、インフレに対抗できる金融商品はないか?」というのが、一般消費者にとっての大きな問いです。
それに対する、一つの答えになりうるかもしれないのが、「Funds」という新しい金融商品です。知名度があって信頼も置ける上場企業にお金を貸すことで、年率1~2%の利回りを得られる、という仕組み。
実は、じわじわと人気化していて、2019年1月のサービス開始から、240本以上の募集を行い、累積投資総額は252億円超(2022年10月12日現在)。9月20日からは楽天証券のWebサイト経由でも利用できるようになっています。
ファンズ株式会社代表取締役を務める藤田雄一郎さんに「Fundsの魅力、商品特性、資産運用における活用法」などについて話を聞きました。
社債に近い商品性なのに、手軽に少額資金で安定した利回り!
――楽天証券経由でも投資できるようになった「Funds」はどんな商品ですか?
個人の方が上場企業などに間接的にお金を貸すことで、分配金収入をもらってお金を増やせる資産運用サービスです。特徴は値動きがなく、年率1~2%程度で募集時にあらかじめ利回りが定められているという点です。
投資するファンドには、あらかじめ決められた利回りと最長で数年程度の運用期間が設定されており、ファンドによって、四半期ごとなどのタイミングで分配金収入を得ることができます。
運用期間中に価格や利回りが変動することはないので、忙しい会社員の方や子育て中の方でもハラハラせず、1円から1円単位で投資できます。
――企業にお金を貸すというと、従来は「社債を購入する」という方法が一般的でした。社債との違いはどこにあるのでしょうか?
社債は市場で取引され価格や実質利回りが変動しますが、「Funds」には値動きがないのが大きな特徴ですね。これまで日本では、個人投資家向けの社債市場はあまり普及してきませんでした。
その理由は上場企業でも「投資適格」という格付けを取得しないと個人投資家に対する社債の販売が難しいことや、目論見書の作成、社債管理者の設置などに煩雑な事務手続きや管理コストがかかるため、かなり大きなお金を調達しないとコスト割れを起こしてしまうからです。しかも個人向けとはいえ、最低の購入金額は数万~100万円単位という案件が多数を占めます。
ただ、実際にはわざわざ公募社債を発行するほどではないものの、数億円から十数億円ぐらい借りたい、といったニーズは上場企業の中にもたくさんあります。
消費者サイドにも、「預貯金では利回りが低すぎる、かといって株式投資では損失が怖い」ということで、少額資金から投資できて、安定した利回りが得られる金融商品の潜在ニーズは高いと考えています。これを合致させたのが、「Funds」です。
――平均利回りが1~2%程度というと、個人向け国債より高く、高配当株の利回りよりは低い、といったところですね?
これまで日本の金融商品といえば、すごく手堅いものの、利回りが0.0数パーセントしかない個人向け国債のようなものか、大きく資産を増やせる可能性はあるものの元本が減ってしまうリスクのある株式や投資信託しかなく、「その間」がありませんでした。
実際、金融商品の期待利回りを調べてみると、期待利回り1~3%というところがスポッと抜け落ちています。海外を見渡すと社債が発達しているので、個人投資家も「フィクストインカム(Fixed Income:確定した利回り収入)」を得るという手段を選べ、ポートフォリオの中での資産分散がしやすいんです。