GPIFの運用方針に学ぶ
それでは、どのようなアセット・アロケーションにしたら良いでしょう? 参考になるのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用方針です。
GPIF運用の基本ポートフォリオと、実際の資産構成(2022年6月末時点)
GPIFは、日本最大かつ世界でも最大の公的年金で、運用資産193兆126億円(6月末時点)を保有します。GPIFは、過去21年間で合計101兆6,000億円もの運用益を獲得しています。
とはいっても、決して特殊な運用をしたわけではありません。短期トレーディングで収益を稼いだわけでも、株価が倍になる成長株に集中投資して当てたわけでもありません。ごく当たり前の長期・国際分散投資をすることで、運用資金を増やしてきました。
私たちも、まねしようと思えば、簡単にまねすることができます。老後の準備として、運用で資産を増やすことを目指す私たちにとって、参考になるものです。
GPIFは、基本となる資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、それに従って分散投資を行っています。
現在の基本ポートフォリオ(中心)は、外国株式25%、国内株式25%、外国債券25%、国内債券25%です。株(外国株+国内株)半分・債券(外債+国内債)半分と、とても良くバランスの取れたポートフォリオだと思います。国内投資(国内株+国内債券)半分・海外投資(外国株+外債)半分というのも、良いバランスだと思います。
GPIFの基本ポートフォリオでは、2015年10月まで国内債券の割合が60%と高かったのですが、国内債券の利回り低下を受けて、比率をまず35%に引き下げました。2022年6月末では、国内債券は25%まで下がっています。
個人投資家は、今は国内債券に投資する必要はないと思います。長期金利の指標となる10年物国債の利回りがゼロになった今、国内債券では運用利回りが得られないからです。
国内債券には投資せず、その分は安全資産として銀行預金に入れておけば良いと思います。都心一等地のオフィスビルに投資する国内REIT(不動産投資信託)に一定割合を投資する方法も良いと思います。
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