スポットのメリットは?向いているのはこんな人

 続いてスポット購入について見ていきましょう。

 積み立てにこだわり過ぎず、スポット購入を検討した方がよいケースとして、退職金や相続によって発生した資金など、まとまった資金の運用を検討している場合が挙げられます。

 積み立ての「大きく損をする可能性を低くする」という効果は、「時間分散」によるものです。購入タイミング(=時間)を複数回に分けて分散することで、買付単価を平均化する効果が期待できます。

 しかし、たとえば数百万円、数千万円の単位の投資資金があった場合、これを10万円などの細かい単位で積み立てるというのは賢明ではありません。なぜなら、毎月の積立額よりも圧倒的に多い金額が、投資機会を奪われた状態になるからです。

まとまった資金を運用したい、どうすれば?

 たとえば1,000万円を、毎月10万円で積立設定した場合、すべての積立設定が完了するまでには、実に8年4カ月(100カ月)もの年月を要します。毎月の積み立てによって減っていくとはいえ、残金は機会損失を抱えた状態になるのです。

 こうした、まとまった資金の運用でおすすめしたいのは、「投資可能資金の6~7割をスポット購入に充てて、残りの3~4割を、もっと下がったときに追加購入できるよう取っておく」という方法です。

 数回に分けてスポット購入することで、時間分散効果に期待しながらも、機会損失が大きくなりすぎないようにします。心理的に、購入のタイミングを自分で判断することにどうしても不安を覚えるという場合は、積み立てを取り入れてもよいでしょう。

 ただし、その場合は、積立額を少額にしすぎないように注意してください。運用に充てられる時間を長く取れた方が、収益を獲得できる可能性は高まります。

 以上をまとめると…

スポット購入が向いているのはこんな人

  • 投資中上級者
  • まとまった資金を運用に回したい
  • 自分の相場観に基づいて投資判断を下したい

 冒頭でも述べた通り、現在は、iDeCoやつみたてNISAなどの資産形成を後押しする制度で「とりあえず積立」というのが合言葉のようになっていますが、資金の性格によっては、スポット購入も検討した方がよいでしょう。

 積み立てとスポット購入、それぞれの特徴を把握し、使い分けてみてください。