米物流大手・フェデックスの株価が表すこととは

図5 米フェデックス(FDX)(日足)の動き (2022年9月16日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図5は、米物流大手のフェデックス(FDX)の日足チャートです。

 まずは、週末16日(金)の急落が真っ先に目に飛び込んできます。この日のフェデックス株価は前日比で約21%安となっていて、200ドルあたりから一気に160ドル台へとその水準を切り下げています。200ドル台は2022年相場の下値の目安として意識されてきただけに、この日の株価急落はかなりのインパクトがあるといえます。

 また、1月5日を起点とするギャン・アングルで捉えても、「8×1ライン」と「4×1ライン」の範囲内で推移していたのが、一気に「3×1ライン」まで飛んでしまったようなかっこうです。

 株価急落の背景には、同社の決算速報値において、国内外で貨物需要が減少していることを理由に、売上高が市場予想に届かなかったことや、通期の業績見通しも撤回したことが挙げられます。

 フェデックスは物流面で国際的に高いシェアを誇っており、同社の業績低迷は世界経済のモノの流れが悪くなり、実体経済が悪化し始めている表れと考えることもできます。ただ、図3・図4にもあるように、NYダウをはじめ、この日の米国株市場は下落していますが、その下げ幅は米8月CPIを受けた13日(火)ほど大きくありません。

 先ほどまで金融政策の織り込みについて考えてきましたが、実体経済の悪化の織り込みについては、まだ進んでいない、足りていない可能性は高いといえます。そのため、今回のフェデックスの株価急落は、今後の株式市場が実体経済の悪化を織り込んでいく呼び水となりかねないことは認識しておく必要はありそうです。