投資信託の売買時に適用される基準価額は?

解答

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なぜ投資信託は「指値注文」ができないの?

 投資信託は、「ブラインド方式」と呼ばれるルールによって、取引の段階では基準価額が分からない仕組みになっています。

 これは、既に確定し、公表された前日時点の基準価額で投資信託の取引ができてしまうと、その基準価額を見た投資家の取引が殺到するなどして、結果的に既存の保有者(受益者)に不利益が生じてしまうためです。

 前述した通り、投資信託の購入・解約を申し込んだ時点では、適用される基準価額はまだ決定しておらず、申し込みの締め切り後に算出される基準価額(これを約定価格といいます)で約定が成立します。

投資先が国内か海外かで、約定日は異なる

 また、この約定価格が決定するタイミングは、投資信託の投資先が国内か海外かによって異なります。

 一般的に、投資先が国内の場合、適用される基準価額は申し込みをした当日中に決定します。極端に言えば、申し込み締切時間ギリギリまで株式市場の動向を見て、購入や解約の判断をすることもできないわけではありません。締切時間までに申し込みを済ませたファンドの購入や解約注文に適用される基準価額は、当日の日経平均株価を反映したものになります。

 一方、米国株式をはじめ、海外資産に投資するファンドの場合、申し込んだ日の翌朝(日本時間)の終値と為替レートを反映して基準価額が算出され、これが約定価格となります。購入時に参照している株価水準と約定価格の算出までにはタイムラグがあるため、株式市場が大きく動いたタイミングを狙ってピンポイントで取引をするということは事実上不可能です。

「1日1回」にはメリットがある

 投資信託の基準価額は1日に一つだけ、1回のみの公表ですが、実はこれにはメリットもあります。

 一つは、原則として約定日時点の基準価額での購入・解約が約束されるという点。これはつまり、需給に関係なく、投資家が取引をしたいと思ったタイミングで購入や解約ができるということを意味します。

 そしてもう一つは、積み立て投資との相性のよさです。1日一つの基準価額しか公表されないからこそ、あらかじめ設定しておいた日を積み立て日として簡単に買い付けができるのです。

 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が、投資信託の積み立てを原則としているのには、こうした背景があります。

 より機動的な取引をしたいという場合は、ETF(上場投資信託)という選択肢もあります。ETFは、現物株式と同様、証券取引所に上場しているので、株式市場の立会時間中であれば、いつでもリアルタイムの価格で売買ができます。

 ただし、ETFは投資信託のように買いたいとき(売りたいとき)に買える(売れる)ことが約束されているわけではありません。取引量の少ない銘柄は特に、実体価値よりも高い(安い)値段で買わざる(売らざる)を得ない場合があり、この部分が実質的なコストとして跳ね返ってきます。この点には注意しましょう。