マザーズは波に乗ることが大切

 私がファンドマネジャー時代に、マザーズ株のトレーディングで気を付けていたことは「波に乗る」ことです。銘柄選択はもちろん大切ですが、それ以上に大切なのが波に乗ることです。

 というのは、マザーズ株は上がる時も下がる時も値動きがきわめて大きく、一方通行になることが多いからです。以下のチャートでわかる通り、上がる時はいい銘柄も悪い銘柄も上がり、下がる時はいい銘柄も悪い銘柄も下がる傾向があります。一生懸命、企業調査して良い銘柄を選んだつもりでも、下げ相場ではなす術もなく下がります。

 2021年以降、いい銘柄も悪い銘柄もなんでも下げる相場が続いただけに、そろそろ買い場が近付いているかもしれないという気持ちになります。

東証マザーズ指数の月次推移:2016年1月末~2022年7月26日

出所:QUICKより作成

まだ波は来ていない

 まだマザーズ株に投資する波は来ていないと思います。今すぐ積極的に投資することは、ファンドマネジャー時代にマザーズ株投資で決めていた私自身の「鉄則」に反することになります。私が鉄則と考えていたことは、マザーズ株でトレーディングするならば、マザーズ指数の13週移動平均線が上向きの時を選ぶということです。

 以下の通り、13週移動平均線はようやく横ばいになりつつありますが、まだ、上向きトレンドが始まったとは言えません。

東証マザーズ指数(週次推移)と、13週移動平均線:2016年末~2022年7月26日

出所:QUICKより作成

 厳密にいうと、マザーズ指数の13週移動平均線は、2022年7月11日以降、ほんのわずかだけ上昇しています(実質ほぼ横ばい)。ここから上向きにはっきり変わるまで、今しばらくの辛抱ではないかと予想しています。

 ご参考まで、2022年のマザーズ指数、同13週移動平均線の動きがよくわかるようにした、以下のチャートもご覧ください。

東証マザーズ指数(週次推移)と、13週移動平均線:2021年末~2022年7月26日

出所:QUICKより作成

 旧・東証マザーズ市場(現・東証グロース市場)は、創業後まだ黒字化したことのない企業でも上場できる特殊な上場市場です。成長期待が高い銘柄が選ばれる一方、成長ストーリーが崩壊した時には、下値のメドなく株価が暴落することもある、高リスク市場です。

 それだけに個別銘柄に投資する場合は、落ちてくるナイフをつかむ買い方ではなく、トレンドに乗って投資していくことが大切だと思います。

東証マザーズETFへの投資で、市場全体を買う方法も

「東証マザーズ市場にそろそろ投資を開始したいが、個別銘柄を買うリスクを負いたくない」という時に、使えるのが東証マザーズETF(2516)です。ETFとは上場投資信託のことで、株式と同じように証券取引所で売買されています。

 東証マザーズETFの7月26日の終値は539.4円で、10株から投資することができるので、26日の終値ならば5,394円から投資できます。小口投資が可能なので、10株から始めて時間分散しながら少しずつ買い増ししていくのも良いと思います。