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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
【日本株】暴落した東証マザーズ株、投資タイミング近い?ETFから投資も

小型グロース株の宝庫「東証マザーズ」、再編後「東証グロース」に

 今日は、東証マザーズ株の投資戦略について書きます。東証マザーズは小型成長株の宝庫で、過去にマザーズからスタートして大きく成長した銘柄もあります。既に東証プライムにくら替えとなっていますが、エムスリー(2413)MonotaRO(3064)サイバーエージェント(4751)ZOZO(3092)ディー・エヌ・エー(2432)などです。

 一方、期待外れに終わって暴落し、上場廃止になった銘柄もたくさんあります。インターネット総合研究所、旧ライブドアなどです。それだけに、高リスク高リターンの市場と言えます。

 投資戦略について話す前に、東証再編にともなうマザーズ指数の扱いにつき、説明します。4月4日の東証再編で、「東証マザーズ」という市場は無くなりました。東証は、「東証プライム」「東証スタンダード」「東証グロース」の3市場に再編されました。マザーズに上場していた銘柄のほとんどが「東証グロース」市場に組み入れられました。

 今日は再編前の東証マザーズ株の投資戦略を話しますが、それは4月4日の再編後で言うと主に東証グロース市場に上場する株の話となります。

 ただ、「東証グロース株」という表記がまだ社会的認知を得ていないこと、東京証券取引所が東証再編後も東証マザーズ指数の公表を続けることから、今日はもっぱら「東証マザーズ指数」採用のマザーズ株を対象に話をします。

東証マザーズ指数は、時間をかけて東証グロース上場250に衣替え

 東京証券取引所は、東証再編後も東証マザーズ指数の公表を続けています。当面は、4月1日時点の東証マザーズ上場銘柄を対象としますので、東証グロース以外の市場に移った銘柄も対象となります。

 ただし、毎年10月に銘柄入れ替えを行います。東証グロース上場の時価総額上位250銘柄に入れ替えていきます。2022年10月の入れ替えは、インパクトを緩和するために、東証が定めたルールにより3段階の入れ替えとします。

 東証の説明によると、「東証マザーズ指数」の名称で算出が続けられるのは、2023年10月の最終営業日までで、その後「東証グロース市場250指数(仮称)」へ指数名が変更される予定です。

 ただし、一定のルールによって少しずつ銘柄入れ替えがされるので、東証マザーズ指数から連続性をもって新指数に入れ替えられる見込みです。東証マザーズ指数に連動するファンドも、連続性を保ったまま「東証グロース市場250指数(仮称)」に連動するファンドになっていくことが可能だと推定されます。

 本レポートでは、マザーズ株の投資方針としてお話をします。

マザーズは波に乗ることが大切

 私がファンドマネジャー時代に、マザーズ株のトレーディングで気を付けていたことは「波に乗る」ことです。銘柄選択はもちろん大切ですが、それ以上に大切なのが波に乗ることです。

 というのは、マザーズ株は上がる時も下がる時も値動きがきわめて大きく、一方通行になることが多いからです。以下のチャートでわかる通り、上がる時はいい銘柄も悪い銘柄も上がり、下がる時はいい銘柄も悪い銘柄も下がる傾向があります。一生懸命、企業調査して良い銘柄を選んだつもりでも、下げ相場ではなす術もなく下がります。

 2021年以降、いい銘柄も悪い銘柄もなんでも下げる相場が続いただけに、そろそろ買い場が近付いているかもしれないという気持ちになります。

東証マザーズ指数の月次推移:2016年1月末~2022年7月26日

出所:QUICKより作成

まだ波は来ていない

 まだマザーズ株に投資する波は来ていないと思います。今すぐ積極的に投資することは、ファンドマネジャー時代にマザーズ株投資で決めていた私自身の「鉄則」に反することになります。私が鉄則と考えていたことは、マザーズ株でトレーディングするならば、マザーズ指数の13週移動平均線が上向きの時を選ぶということです。

 以下の通り、13週移動平均線はようやく横ばいになりつつありますが、まだ、上向きトレンドが始まったとは言えません。

東証マザーズ指数(週次推移)と、13週移動平均線:2016年末~2022年7月26日

出所:QUICKより作成

 厳密にいうと、マザーズ指数の13週移動平均線は、2022年7月11日以降、ほんのわずかだけ上昇しています(実質ほぼ横ばい)。ここから上向きにはっきり変わるまで、今しばらくの辛抱ではないかと予想しています。

 ご参考まで、2022年のマザーズ指数、同13週移動平均線の動きがよくわかるようにした、以下のチャートもご覧ください。

東証マザーズ指数(週次推移)と、13週移動平均線:2021年末~2022年7月26日

出所:QUICKより作成

 旧・東証マザーズ市場(現・東証グロース市場)は、創業後まだ黒字化したことのない企業でも上場できる特殊な上場市場です。成長期待が高い銘柄が選ばれる一方、成長ストーリーが崩壊した時には、下値のメドなく株価が暴落することもある、高リスク市場です。

 それだけに個別銘柄に投資する場合は、落ちてくるナイフをつかむ買い方ではなく、トレンドに乗って投資していくことが大切だと思います。

東証マザーズETFへの投資で、市場全体を買う方法も

「東証マザーズ市場にそろそろ投資を開始したいが、個別銘柄を買うリスクを負いたくない」という時に、使えるのが東証マザーズETF(2516)です。ETFとは上場投資信託のことで、株式と同じように証券取引所で売買されています。

 東証マザーズETFの7月26日の終値は539.4円で、10株から投資することができるので、26日の終値ならば5,394円から投資できます。小口投資が可能なので、10株から始めて時間分散しながら少しずつ買い増ししていくのも良いと思います。

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ

 最後に、著書のご紹介です。昨年12月ダイヤモンド社より拙著「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」が出版されました。

 私が25年間の日本株ファンドマネジャー時代に得たテクニカル分析のノウハウを初心者にもわかりやすく解説しています。クイズ60問を解いてトレーニングすることで、私がファンドマネジャー時代に実際に行った何万回というトレードを疑似体験できるように作られています。

 東証マザーズ株に投資する時には、ファンダメンタルズ分析だけでなく、チャートを見て動くテクニカル分析も大切です。株価チャートの見方がわからなくて困っている個人投資家にぜひお読みいただきたい内容をまとめています。