FIREの注意点1:FIREは手段。目的・ゴールではない
大前提としてFIREは経済的自立と早期退職を実現するための手段であって、それ自体が目的・ゴールにはならないはずです。目的・ゴールにしてしまうと、達成後はいったい何をすればいいのか…という問題が出てくるでしょう。
しかし一方で、FIRE後の具体的な目的を決めなければ目指せないのかというと、そうではありません。
実際にFIREを達成している人たちの話を聞いてみると、FIRE後の目的が漠然としていても、まずは経済的な自立を目指すことに力を入れた人がほとんどです。そしてFIRE達成後は、お金や時間にとらわれずに生きるようになったことで視野が広がり、目的が明確になっているようです。
FIREをしたいという相談は年々多くなっていますが、実際に達成に向けて行動に移している人ほど自分の中に軸を持っており、将来についても、より具体的な考えを持っています。
まずは「やってみる」ことが何よりも重要です。その過程で、人生を見つめ直し、自分に向き合うことで、目的が見えてくることでしょう。
FIREの注意点2:資産額を純資産(資産−負債)かつ税引後で考える
FIREを目指す中で、貯金なら、これをそのまま資産額だと考えて問題ありません。ところが、この資産額を見積もるときに、間違ってはいけない落とし穴があります。
まず、株式や投資信託の場合、含み益が大きいときは単純な時価評価額ではなく、売却の税引後金額を資産と考えた方がいいでしょう。
また不動産の場合は、売却価格だけでなく、ローンがあれば負債を引いた純資産で考える必要がある上に、保有中に予想される経費や修繕費も見積もっておくことが重要です。
資産額の見込み違いで、FIRE後に大変な目にあわないよう、しっかり確認しましょう。
FIREの注意点3:急がず自分のペースでFIREの目標設定を
FIREの第一人者であるクリスティー・シェンは幼い頃からお金の重要性を理解し、10〜20代での努力の結果、30代という若いうちに自分の望むFIREを達成しました。この道程には失敗も多々あったようです。
資産運用では時間を味方につけた人が成功すると言われています。そしてFIREも同様です。できるだけ早く「計画的に行動し続けること」。これがFIRE達成の近道です。少なくとも10年先、20年先といったスパンでFIREを考えるべきでしょう。
FIREの注意点4:環境変化への対策をしっかり練っておく
経済的な自由を得るための資産を貯めることができ、支出と同等以上の収入を得ることができたとします。しかし、予定していた収入がなくなることや、予想外に支出が大きくなる可能性もあります。支出は予想よりも大きくなりがちです。
特に、ライフプランの相談を受けてシミュレーションをしていると、若い世代ほど今後の支出については、不透明な点が多くなります。
そのため、ただ資産を貯めればいいわけではなく、今後起きることが予想される経済的な環境変化への備えも考えておく必要があります。最悪の事態となった場合の対処も考えておくことが大切です。
FIREの注意点5:一人で全てをこなさない、でも他人を信用し過ぎない
FIRE後、貯めた資産をただ使いながら過ごす方法もありますが、多くは資産を運用することで収入を得ていく生活を描いていると思います。
この資産運用の方法をどう選ぶかは個人個人が決めることですが、たとえばFP(ファイナンシャル・プランナー)など相談できる人を見つけておくことも大切です。FIREで、自ら運用だけに掛かりきりになる生活になっては本末転倒です。
しかし、同時に一番やってはいけないのは、どんなに信用できる人であっても、資産運用を丸投げにしないことです。資産運用の面倒な雑務や管理は任せるとしても、特に運用のデメリットやリスクについて許容できる範囲かどうか、自分で判断しなければならないことは言うまでもありません。