米ハイグロ(ハイパーグロース)株安に「耐久性」のある中小型株は?

 米国のグロース株が下げると、幅広い日本のグロース株(高PBR(株価純資産倍率)株)は下がる―これは摂理として、米国のグロース株が下げるときは、米国のハイパーグロース株は強烈に下がります。こうなると、日本のハイパーグロース株の集合体、東証グロース市場のベンチャー系銘柄には確実に飛び火します。

 この鉄火場から遠ざかりたい投資家は、資産防衛を重視した行動をとるはず。株の世界では「ディフェンシブ銘柄」という表現がありますが、ハイグロ株安の地合いに高い防御力を見込める銘柄を知っておくべき。中小型株ではどういう銘柄の防御力が高いか? と考えますと…リーマン・ショック級のナスダック下落月となった4月に「逆行高」した銘柄が該当します。

 さらにいえば、米国株の調整が長引く場合、米国株を直接的・間接的に保有している投資家が多い今の日本でいえば、確実に投資マインドは落ちます。米国株が下がっているから、日本株を買わない、利益のある日本株は利益確定しよう…といった後ろ向きな発想が広がります。その時に防御力が高い株は何か? となると、ざっくり言いますと、「人気のない株」です。

 多くの個人投資家が信用で買っているとか、デイトレで触っている銘柄ではない銘柄。それでも、4月に逆行高した銘柄。そんな銘柄あるの? ということで、スクリーニングをかけてみました。

 東証スタンダード市場、グロース市場に上場する銘柄の中で、ナスダックが下がった4月後半に年初来高値を付け、ナスダックが急落した4月に月間プラスの銘柄。かつ、流動性が低下(売買代金25日移動平均値が13週移動平均値より減少)をピックアップしてみました。

ハイグロ株安の4月に逆行高&年初来高値を付けた鈍感力銘柄(時価総額大きい順)
スクリーニング条件(1)4月後半に年初来高値、(2)4月の月間騰落率がプラス
(3)売買代金25日MAが13週MAより少ない(流動性低下)

市場 コード 銘柄名 年初来高値
日付
4月騰落率 4月末時価総額
(億円)
スタンダード 8303 新生銀 4月21日 1.8% 5,901
グロース 6030 アドベンチャ 4月21日 2.9% 682
スタンダード 2268 サーティワン 4月26日 1.1% 390
スタンダード 2573 北海コカ 4月15日 1.6% 280
グロース 3628 データHR 4月22日 8.5% 230
スタンダード 3784 ヴィンクス 4月28日 5.4% 216
スタンダード 9368 キムラユニティー 4月28日 5.1% 166
スタンダード 4356 応用技術 4月26日 23.8% 143
グロース 6040 日本スキー 4月26日 4.5% 105
スタンダード 5984 兼 房 4月20日 1.6% 102

 抽出できた銘柄はジャスト10銘柄でしたので、全て掲載しています。こちらが、歴史的なナスダック軟調地合いなど、どこ吹く風で堅調だった「鈍感力」の高い銘柄です。

 売買代金が減っているのに上がっている、というのは良いのか? という点でいえば、突発的な材料で株価が上がったわけではないという点では、「理由もないのに上がった」という意味で、今回の着眼点にはマッチすると思います。

 イメージとしては、「閑散に売りなし」。本コラムのリニューアル初回は、防御力を重視した銘柄選別の切り口を紹介いたしました。初っ端から地味ですが…。